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2008. 12. 31 年末にとんでもねえ爆弾が…
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……お前はオールバカ。全てにおいてバカ。 もうこんな馬鹿野郎は見たことない!! …え〜…よくこの日記でもネタにさせてもらってる、古代ギリシャ史の山田先輩こと脳みそプリン野郎ですが、 その彼がいきなり言い出したセリフ。 山田「俺ちょっとギリシャ行ってくるわ」 なんでそんな「ちょっとションベン行ってくるわ」みたいなトーンなの!? 私「…ギリシャって…あのギリシャでしょ!?ヨーロッパにあるヤツ!?」 山田「そ。まあ、ちょっと行ってくるから」 何っだそのラフな感じ!?どんだけ近場だギリシャ!? 環七こえたらギリシャかよ!! 私「…っていうか先輩、ニュース見てないの!?今ギリシャ大変なんですよ!暴動で!!――そのさなかにギリシャに行くなんて…一体何をしに!?」 山田「テーベの戦場跡が見たい」 そんなもん日本からグーグルアースで見れるだろ!! 何それ、なんでわざわざ現地に…!? ――という問いかけに対する山田先輩の答えがとんでもなくバカだった。 山田「古代ギリシャ人は、絶対に弓を使わなかっただろ?」 私「は?」 山田「弓は安全な場所から攻撃する卑怯者の使う武器。軽蔑すべき野蛮な武器だったからだ。 だから俺も弓は使わない!敵軍の弓の雨の中で、盾と剣だけで戦う――そんな勇敢な男に俺はなる!!弓を引くくらいなら、素手で戦って戦場の真ん中で死ぬ!」 全然意味がわからない。全然意味は分からないけど、先輩がとんでもねえ馬鹿だということは分かった。 だってお前、弓は引かないも何も、弓なんか引いたら肩関節はずれるだろ?!ってくらい軟弱者じゃん! (※ちなみに、アポロンは弓を使っていますが彼は別です。ギリシャ神話は古代ギリシャ人にとっては過去(=歴史)の話だから。今、日本人がちょんまげ結わないのと同じ。オールドファッション。) 山田「それじゃあ、俺は行くからな。…俺がギリシャから帰ってきたら、みんなで新年会…いや、ディオニュソスの誕生日会やろうな!!」 ああ、これは完全なる死亡フラグだと。 もうこうなったら、引き止めるとかじゃないでしょ? 『山田先輩』っていう映画のエンディングに、私がどれだけ綺麗な形で加われるか、って話でしょ?!! 私「先輩…絶対に生きて帰ってください…!盾と共に帰れ!!!」 山田「おう!じゃあな!」 ――さよーならーー!さよ〜ならー山田先輩ーー!! さよーーなら〜〜〜!! ―――というのが先々週の話で、 先日、山田先輩は無事に帰ってきちゃいました。 山田「ラーメン・イケメン・ボクつけ麺!!たっだいまー!帰ったぞ!」 生きてた。 っつーか行く前より若干アホになってる… 私「…お帰りなさい。どうでした、ギリシャ?テーベは?どんなところを見て回ったんですか?聞かせて下さい!」 そして、本当に恐ろしいのはここからだったのよ。 山田「いろんなとこ巡ったぜー!テーベもすごかったし!デロス同盟の軍事拠点もすごかった!それと…」 …えっ!?今なんつった!? 「デロス同盟の軍事拠点」!?それって!それってまさか…!! 私「デロス島に行ったってことですか!?アポロンが生まれた島に!!?」 山田「え、うん…そうだけど…」 私「泉があったでしょ!?そのそばにあるヤシの木見ました!?」 山田「見てない。」 このチンカス野郎ーーっ!! デロス島に行ってアポロンが生まれた場所をスルーするってどういうことだーーーっ!!!そのヤシの木の下でアポロン生まれたっつーの!! ふっざけるなよ!!何っがデロス同盟の軍事拠点だよーっ!デロス島に軍事拠点があったのは!そこがアポロンの聖地だったからだろ!誰にも犯せない場所だったからだろ…!! 私「…デロス島でそれってことは、その隣にあるディオニュソスの聖地のナクソス島には…?」 山田「行ってない。」 私「バカタレ〜〜!!だいたい、テーベだってディオニュソスの一番の崇拝地なのに、戦場跡とか見てたんでしょ!?テーベの隣のデルフォイは!?それはさすがに行きましたよね?!」 山田「行ってない。」 このクソ虫がーーっ!! テーベ!ナクソス!デルフォイ!!ディオニュソスの聖地3つもスルーしてるじゃねえかよ!3つだぞ!3つ!!ぷよぷよだったらあと1個そろえば消えちゃうわよ!!ディオニュソス消えちゃうわよ!! 山田「いや、ちょっと待って。ちゃんと他のところでディオニュソスの神殿っぽいのは見た。」 私「へえ。どこでですか」 ――だが、この次の山田の台詞ほど、私を震撼させた言葉はありませんでした。 山田「デロス同盟の宗教的拠点の…ほら、ええっと…」 私「……。…エレウシス?まさかエレウシスに行ったんですか?」 山田「そうそう!エレウシス!!」 私「ハーデス様が!!ハーデス様がペルセポネーと合祀されてる神殿があったでしょ!?見た!?見たと言ってくれーーッ!!」 山田「え…ええっと…なんか小汚い井戸みたいのは見たけど…」 それカリコロンの井戸!! ペルセポネーがハーデス様にさらわれたとき、彼女のお母さんのデメテルがその井戸に座ってストライキを…!! 私「それより、川が…!川が流れてたでしょう?その近くに『野いちじく』と呼ばれる場所があったでしょ!?そこでハーデス様がペルセポネーを浚ったんです!!――その場所は!?見て!?」 山田「ない。」 お前はオールバカ!全てにおいてバカ!! ――そんなわけで今、グーグルアースで「野いちじく」の場所を見て歯軋りしてるわけですよっ!キィー!くやしー!!先輩はこの場所に立ってたのに!!なのにスルーしたなんて!!はああ〜マジかよ…先輩は戦争関係だから、神話関係は行かないだろうと思ってた…ぬかった…!!『野いちじく』の写真撮ってきてもらえばよかった!! もう本当にショックです。だってデロス島に行ってアポロンが生まれた場所見てこないとか…そんな奴いるの?! あと、先輩と話していて何か違和感を感じていたのですが…その正体が今分かりました。先輩、エレウシスにディオニュソスの神殿は無いです。 エレウシスで祭られてる男神はハーデスだけなんだけど… ええ?おかしいぞ?先輩、何かと勘違いしてるんじゃ…? ――いや、まさか…もしかして…。 あのさ…後の時代になると、ハーデス様とディオニュソスを同一視する風潮が高まったのですが… もしかして、エレウシスのハーデス神殿…ディオニュソスの神殿になっちゃった? ――しょっぺぇーーー!!ハーデス様しょっぺぇえ〜〜!! 本当にそうだとしたら!なんという哀れな末路!ハーデス様! いや、確かにグーグルアースじゃ分からないことってあるな! だってエレウシスの神殿が今、誰のものかは…このグーグルアースの映像じゃわかんねえ!実際に行ってみないと分かんねえよ!!行きたい!今すぐここに行きたい!! (多分今でもハーデス様(というかプルトン)の神殿だと思うよ…!ハーデス様とディオニュソスの同一視はもっと概念的な話で、実際の祭儀の場とはあんまり関係ないから。先輩が何か勘違いしてる) そんなわけで、年末にとんでもない爆弾が待っていたわけですが、 ついでに、今年を振り返ってみると…私は、今年はあんまりいい年じゃなかったです。 というのも、ギリシャ神話に対して消極的なことばかりしてしまったからです。 大好きなんだけど。世界で一番大好きなんだけど… 私は臆病者だから、自分のその気持ちを裏切ってしまうことがあります。 だから、来年は山田先輩をみならって無謀勇敢に行動したいと思います! 「弓を使うくらいなら、素手で戦って死ぬ!古代ギリシャの男がそうしたように!」 ――この先輩の言葉を来年の目標に掲げ!臆病者の自分にバイバイして、先輩みたくかっこよく散ります!!(先輩散ってねえけど) そして最後に、ここに目を通してくださっている方、今年は私に付き合ってくださってどうもありがとうございました。 来年も私は好き勝手バカな事をやってると思いますが、来年もどうぞよろしくして下さったら嬉しいです!! みなさんも良いお年をお迎えください! それじゃあ、また来年ー!! 拍手のお返事は前回の日記にあります!
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藤村シシン古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。 高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。
◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。
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書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。 ★よく出てくる宿敵「黒川君」については →【黒川wiki】をご参照下さい。
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