藤村シシンぶろぐ


 

2009. 11. 7
      【実況中!】 手のひらの上の戦争
〜私の出した答え、黒川の本当の狙い、そして〜

※昨日の日記から続いてます。 
 
【11月7日21時】 
――本当にお前は恐ろしい男だ、黒川。 
 
「この”箱”の謎を解いて下さい」、そう言ってお前は私にこれを渡してきた…。 
 
 
 
だから今の今まで私はまんまと勘違いさせられていたわ…そう、これが『箱である』と!!
 
 
違う…!これは『空き箱』なんかじゃない! 
重要なのはこれが『立方体』であるということだったのよ!! 
 
――結論から言おう!これは、この『白い立方体』は、 
 
 
 
アポロンの祭壇だ…!!
 
デロス島のアポロンの祭壇だ!! 
 
なぜこれが方眼紙で作られているのか、なぜ中身が空なのか、7×7×7、そしてこの立方体に対して『問い』『答え』がある…。それは「人類が2000年かかって解いた問題」―― 
 
今やその全てがはっきりした!黒川は…あの男は…!!
 
 
かつて最も難解と謳われたアポロンの神託を!この立方体を使って私に問いかけてきたのよ!! 
 
ああ、お前は本当に恐ろしい男だ黒川!! 
そしてアポロン!! 
 
まさか、ああっ…まさか!アポロンが歴史や哲学、音楽や美術の教科書のみならず、まさか数学の教科書に載っているとは…!! 
さすがの私も思わなかったわよ…!!
 
 
順を追って話そう!私の導き出した「答え」を!!―― 
 
【実況中】 手のひらの上の戦争 
〜私の出した答え、黒川の本当の狙い、そして〜
 
 
――かつて、古代アッティカ(アテネがある地方)でひどい疫病が蔓延した。 
そこでアテナイの人々は、デロス島におもむき、疫病の神であるアポロンに問うた。 
 
『どうすればあなたのお怒りを鎮めることができるのか。』。 
 
するとアポロンはこう答えた。 
 
アポロン
『私の祭壇を形を保ったまま倍の大きさにしろ。最も美しい方法で。』 
 
――デロス島のアポロンの祭壇は当時、 
縦横高さがすべて等しい立方体だった。 
そこでアテネの人々は、その祭壇の
各辺を二倍して祭壇を作りなおした。 
 
 
 
――だが、もちろんこの方法だと体積は8倍になってしまう。 
アポロンの怒りは一向に収まらなかった。 
 
アポロン
『私は、長さを2倍にしろと言ったのではない。大きさ(体積)を二倍にしろと言ったのだ!!それも、「最も美しい方法」で!!』 
 
↑こういうこと。 
 
――もう完全にアポロンは私のこと愛してるならじゃあヴィトンのバッグ買ってよ!!」…とムチャ言って彼氏を困らせるカノジョみたいだが、 
 
これには彼氏もといアテナイ人は頭を悩ませた。 
「立方体をその形を保ったまま2倍の大きさにする。」そんなことが可能なのか? 
しかも…
「最も美しい方法で」 
 
当時、幾何学における最も美しい解法は「作図」。 
定規とコンパスだけで答えを出す、というもの。 
 
難しい式や高度な機械を使ってはならない…それがアポロンの要求だった。 
 
ギリシャ各地から高名な数学者がやってきてこの問題を解こうとした。 
その中にはあのプラトンもいた。 
 
だが、誰ひとりアポロンのこの問題を解けた者はいなかったのだ。 
 
 
――歳月が流れ、デロス島が廃墟となって、アポロンの崇拝が忘れ去られた後も、誰ひとりとしてこの問題を解けるものはいなかった。 
 
そう、
1837年、数学者ワンツェルがこの問題を解くまでは――! 
 
 
 
…話をこの立方体に戻そう! 
そう、黒川は私にこの小さな立方体を通してこう問いかけているのよ! 
 
『私(アポロン)の祭壇(立方体)をその形を保ったままで二倍の大きさにしろ。「最も美しい方法」で!』 
 
――最も美しい方法とは「作図」! 
そう、だから黒川の立方体は方眼紙で作られていて、しかも、 
 
 
 
展開できるのよ!!!
 
 
(中身が「空」なんじゃない!「展開」するために「箱」の形をとっているんだ…!!) 
 
 
そして黒川。いや、アポローンの君。 
2000年間もお待たせいたしました!! 
今あなたが問いかけた問題に答えを出そう!!
 
 
 
『私の祭壇をその形を保ったままで二倍の大きさにしろ。「最も美しい方法」で』 
 
 
――2000年前のこのアポロンの言葉に対する、 
19世紀の数学者の答えはこうだ!!
 
 
 
「――その答えは『不可能』です。アポローンの君!!「与えられた立方体を、作図によって倍にすることはできない」!!」 
 
 
――どうだ!!? 
アポロンよ、そして黒川よ!!これだろう!?お前が求めていた答えは!? 
 
…でも、この答えが合っているかどうか、吟味しているヒマはないわよ!! 
 
なぜなら、
 
 
(もうすぐ23時45分だ――!!) 
 
そう。黒川は11月7日の23時45分に
「答えを聞きに電話をする」と言っていた。 
 
さあ、黒川よ、私の携帯を鳴らせ!! 
私の答えは完璧でしょう!?これで絶対に間違いはないはず!!
 
 
(今回もまた!私の勝ちだ!!) 
 
23時40分!! 
 
さあ、黒川!勝負だ!! 
 
私の携帯を鳴らせ!!
 
 
 
黒川との電話が終わったら、勝敗をこの下に追記します! 
 
..23:42
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
【11月8日 00:10】 
 
……憎しみで…… 
 
憎しみで人が殺せたら……!!! 
 
ぎゃぁあああああああああ〜〜黒川ァアアアアアーーーッ!!うわぁあああああ〜〜〜!!
 
 
あああ私は…!私は!
黒川の意図の半分も読み解けていなかった……!! 
 
黒川にとっては、私が『箱』の謎を解こうが解けまいが… 
そんなことはどうでも良かったのよ!!
 
 
本当に警戒しなければならなかったのは…『11月7日、23時45分』…!!この日付の方だったなん…ーーーっぐぎゃああああああ黒川ぁああああーーっアアアーーッ!!!!
 
 
ああ…この日付の意味をカモフラージュするために…! 
「11月4日=ヘルメスの日」、だから「11月7日=アポロンの日」…!この先入観を私に植え付けられば!箱の謎などどうでも良かったのか…黒川…!あああああーーーーッ!! 
 
すみません…!!
「11月7日、23時45分に何が起きたのか」とか… 
もう色々あるんですが…! 
もうとても今語れる状況じゃない…!! 
 
うわああああーーーッ!意味が分からない!! 
ちょっと待って…おかしい!絶対におかしい!こんなこと不可能よ!! 
 
だってそうでしょ!?私の誕生日が11月8日あること!そして私が「明けの水星(アポロン)」を欲しいと言ったこと…!!それは黒川が決めたことじゃないのよ!? 
 
なのに…『11月7日、23時45分』!! 
ああ、どうして!?どうしてこんな完璧な作戦が立てられたんだ!? 
どうして――!?
 
 
 
(…ああ、私…負、け……) 
 
黒川『…おっと。こんなところで戦意を喪失されては困ります。
僕の罠はもうひとつ残っています。』 
 
私『…!?』 
 
黒川
『僕の望みはね、藤村さん。11月4日にヘルメスであなたを負かし、11月7日にアポロンであなたを打ちのめし、そして11月8日に「明けの水星」であなたを殺すことです。』 
 
!!?どういうこと…!?まさか…まさか…もう一段階あるってこと…!!? 
そんなのもう無理よーーっ!!もう私、からがらよ!命からがら!!
 
 
黒川
『――ですが、もしあなたが僕に負けを認め、一生僕に逆らわない、と。永遠に僕のしもべになる、というのならここで止めて差し上げます。』 
 
 
――…なんだって? 
 
黒川
『…だが、もちろん僕は知っています。あなたは決してミュトス(ギリシャ神話)以外の男には仕えない。だから止めの一撃を放つしかない。 
 
――あなたの家に誕生日プレゼントを送りました。明日の朝一番に届きます。』
 
 
『な!!??』 
 
黒川フフフ。怖いでしょう?何が来るか分からない。きっと今夜は眠れないでしょうねえ…せいぜい一晩、苦しんでくださいよ。』 
 
――なんなの!?何なの!?どういうことなのーッッ!!? 
 
黒川『…でも、そんなあなたはあまりにも哀れだ。だから特別に何を送ったかお教えしましょう。 
 
−−中身はあなたの欲しがっていた「明けの水星(アポロン)」です。』 
 
 
――はあ!?どういうこと!?「水星」!!? 
 
 
黒川
『…ピタゴラス曰く。人の魂は死後、ハーデスの元で207年間苦しみ続けてから転生するそうです。』 
 
私「…!?」 
 
黒川
『…それじゃあ、さようなら、藤村さん。また207年後にね。』 
 
 
 
――そう言って電話を切られた。 
 
ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!!どういう事!? 
私の家に水星が来るってどういうこと!!? 
 
もう家族みんなをたたき起して 
 
「みんな逃げてぇええーーー!!!明日この家の上に水星が降ってくるぅううおおおーーー!!!」
 
 
そう叫ぶしかないか!!? 
あああっ、どうしよう…
あああーー!!!! 
どうすればいいの!?誰か助けて!!誰か!!誰か!!誰か助けて!! 
何なのーーあああっ!!うわあああ…耐えられない!こんな恐怖…!!
 
 
…ちょっと待って…整理させて…全然今自分の置かれている状況が理解できない…!! 
何を語ればいいの今?何をすればいい私は!? 
誰に助けを求めればいい…!! 
 
ああ、そして…
明日私の家に何が来るの!!? 
 
色々落ち着いたら、そして朝になったら、黒川の荷物が来たら… 
 
…また追って下に追記します…!!(※命があったらの話)
 
 
..1:00
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  
 



藤村シシン
古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。
高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。
著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。 NHKカルチャー講座講師。平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 古代ギリシャナイト主催。 など。

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★よく出てくる宿敵「黒川君」については
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書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。






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