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2009. 5. 12 【黒川にバレた】黒川プラトン誕生計画!〜決戦は六本木、そして黒川からの反撃も〜
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”――そもそも二人を争わしめたのは、いかなる神であったのか。” 黒川「…っていうか藤村さん。あなた何か企んでるでしょう。」 突然黒川からかかってきた電話の第一声! 私「え”っ!?な、何ですか、急に!?やだなー!この私がい、一体何を企んでるっていうんですかー!?」 黒川「主にアポロンの誕生日に合わせて僕をコテンパンにしようという計画をです。」 バレテーラ。 な…なぜだ!?この私の潜伏作戦は完璧だったはず…!! なぜバレたんだぁーーっ!? 黒川「後藤を軽い精神的拷問にかけたら簡単にゲロりました。おかしいと思ったんですよね…普段、『黒川先輩、今日ってテキスト何ページからでしたっけ?』『5。』くらいしか僕と会話をしない後藤が、急に『黒川センパイの弱点って何ですか?』とか『先輩はロリコンですか?』とか意味の分からない事を聞いてくるんです。あれで不審に思わない方がどうかしています!」 後藤…アイツ本当に使えねぇ。 黒川「…藤村さん!あんまりです!!後藤を使って僕に探りを入れるなんて!こんなの卑怯です!反則じゃないですか!?」 うるっせえ!! 私「だいたいなあ、お前は回文が好きとか言ってるけど、そんなに好きだったらじゃあお前は田端(たばた)に住めよ!!右から読んでも左から読んでも同じじゃねえかよ!!それで好きなアーティストはABBAって言え!!」 何もかも中途半端なんだよ、お前は!! 黒川「ギャアアアアーーー!!!まさかこの僕が回文のことで人に突っ込まれるなんてぇーっ!!こんな屈辱は生まれて初めてですーーッ!!この卑怯者ーーっ!!」 私「この私が卑怯だって!?じゃあ聞くぞ!アポロンが霧に乗じて背後からパトロクロスを襲った時、一言でも「これからお前をぶん殴っちゃうぞ」つったか!?言ってないだろ!?アポロンがギリシャの軍勢に矢を射かけた時はどうだった!?」 『ボイポス・アポローンは弓とともに 堅固な覆いを施した矢筒を肩に、オリンポスの峰をくだる。 怒れる神の肩の上では、動きにつれて矢がカラカラと鳴り、 くだりゆく神の姿は夜の闇のごとくに見えた。』 私「な?夜陰に紛れてヒット&アウェイ。これがアポロンの戦法だから!!この私を卑怯とののしるのなら、同時にアポロンにも唾をはいていると心得よ!!」 黒川「…くっ、じゃあ何ですか?あなたは、どうあってもアポロンの誕生日に僕をコテンパンにすると。そういう心づもりなのですか!?」 私「…黒川さん。私は今年が2009年なのが残念でならないんですよ。2008年だったら良かったのに、と。」 黒川「…何ですって?どういうことです?」 …古代ギリシャ人は古代オリンピックが始まった年(紀元前776年)を起点として、 4年ひと組の「オリンピアド」という暦を使っていた。 そして各オリンピアドの3年目には、アポロンをまつる大祭が開かれる。 私「…西暦をこのオリンピアドに換算すると、今年は696オリンピアドの第4年目です。去年だったら、696オリンピアドの第3年目。ちょうどアポロンの大祭が開かれる年だった。 …黒川さん、あなたをアポロンで葬り去るにはちょうど良い年だったと思いませんか…?」 黒川「な…!!」 私「…フフフ。この事をご存じなかったんですね。やはりあなたは神話や哲学のアポロンには詳しいが、歴史の中のアポロンには明るくないようだ!!ついに見つけたぞ、黒川の弱点を!!」 黒川「…ちょ…!ちょっと待って下さい、なんだか先ほどから藤村さんのペースじゃないですか!?あ、ありえないこんな事…!!ええっ、ちょっと…;」 わーっはははは!!超きもちいいーーー!! この男をこんな風に狼狽させるのがこれほど気持ちいいなんて!! はははは!!笑いが止まらん!! 黒川「…ちょっと待って下さい。それじゃあ、アポロンの誕生日に合わせて、僕も藤村さんにプレゼントを渡してもいいって事ですよね?」 ………ん?! 黒川「アポロンの誕生日にあなたから一撃が加えられることを分かっていて、何も行動しないなんて僕にはできませんよ!!僕からも何かあなたに…!」 私「ちょちょちょ、ちょっと待って!それはダメ!!」 なぜなら、私は黒川さんにこれまで色々もらいすぎだから! これはこれまでのお返し、っていう体裁なのよ!! 私「…だからこれ以上、黒川さんにお金を使ってもらうのは絶対ダメです。」 黒川「……。だったら、」 私「だからと言って、どっかの山から引っこ抜いてきたカシの木とかもダメ!!とにかく、今回ばっかりはあなたから『物』は受け取りません!!」 黒川「……よく分かりました。つまり、お金のかかった形ある物以外ならば受け取って下さると。」 ………んんっ!? 黒川「要するに、お金が一切かかっていない、形の無いもので、それでいてアポロン関係の何かならばいい、と。そういう事か。とても難しい命題ですが、藤村さん、僕はね、難しい問題ほど燃えるタイプです!!」 私「馬鹿な!そんなの不可能だ!!」 「お金のかかってない、形のないモノで、それでいてアポロン関係の何か」。 そんなものがあるはずがない!! 言っとくけど、材料費が一円でもかかっていたらダメだかんね!? つまり、今お前の身の回りにあるものしか使えない! しかも、アポロンの誕生日は5月27日。 あと2週間しかない!! 私「絶対にそんなものを用意するのは不可能だ!」 黒川「僕を甘く見るな!!必ず用意してあなたに叩きつけてやる!!」 私「そっちこそ!!私だって絶対に手を抜かない!!」 黒川「ティス・タルスポーエ・テオーン・エリディ・クスネエーケ・マケスタイ!? (そもそも二人を争わしめたのは、いかなる神であったのか!?)」 私「レートゥース・カイ・ディオス・ヒュイオス:アポローン!! (それこそはレトとゼウスが息子…アポロン)!! …ふんっ!!じゃあね!バイバイ!!」 …と、そのまま勢いで電話を切った私。 しかし、10秒後に黒川からリダイアルが。 私「…何ですか?先ほどの『イリアス』の掛け合い、もう少し先までやりたかったんですか?」 黒川「いえ、そうじゃなくて…。一番大切なことを伝え忘れていたのですが、藤村さん、僕と六本木に付き合って頂けませんか?」 ……六本木? なんでそんな黒川さんに一番似合わない単語が出てきたんだ? と思ったら、どうやら彼は ttp://www.asahi.com/louvre09/ これに行きたいらしい。 六本木でやっているルーブル美術館展「美の宮殿の子供たち」。 私「…??一人で行けばいいじゃないですか?」 黒川「嫌ですよ!六本木なんて、チャラついた男女がダブルデートなんつって集団でいちゃついて、夜になると器具を使った乱交パーティーが開かれるような町でしょ!?そんな恐ろしい場所、一人じゃ行けません!!」 っつーか六本木をそんな場所と思ってるような奴と一緒に行くのが私は嫌なんだけど!! 絶対そんな所じゃねえよ!!オシャレな場所ではあるけどさ…!! 黒川「…藤村さんも興味あるかと思ってお願いしたんですが…。古代ギリシャの壺とか、彫刻とかも来てるみたいですし。」 私「…分かりました。いくつかあなたに借りもあるし、付き合いましょう。」 黒川「!!ありがとうございます!!」 私「だけど黒川さん、一つお願いがあるのですが、当日はいつもの変な格好じゃなくて、もうちょっとオシャレして来……あっ」 こう言うと、前のディズニーランドの時みたく 軍服で来てしまうかもしれない… 私「…やっぱり、普通の恰好で…」 …って言うと、いつもの気持ちの悪い回文Tシャツだよな!? 難しいな!何て言えばいいんだ!!? 私「…あのー…当日は…フォーマルな格好で来て下さいませんか?」 黒川「もちろんです!美術館ですもんね!」 …よしっ!これで軍服と変なTシャツは回避できるハズ…!! 私「それで?いつ行きます?」 黒川「そうですねぇ…5月の27日なんてどうです?」 ちょ…っお前、殺る気満々じゃねえかよ!!(笑) アポロンの誕生日をブッキングしようとしてくるなんて!! こいつ、本当に無策か!? 私「空いていますが、嫌です。」 そんなわけで、結局、来週の平日に行くことになりました。 そしてアポロンの誕生日としてはちょっと早いですが、その日に黒川さんにプレゼントを渡そうかと思います。 そんなわけで、決戦は六本木!! そうそう、前々回の日記で書いた、黒川が「ホムンクルス」という文字のTシャツ延々と着ていた、という話ですが…あれは本当になんでもない事だったみたい。 黒川は4月まで実家に帰っていたのですが、その時にTシャツをほとんど持って帰ってしまったそうです。で、代わりに実家にあるTシャツのストック(実家にもあの量のTシャツあるのかよ!!笑)を持ってこようとしたが忘れてしまった、と。それで、家族に送ってもらおうとしたんだけど、 黒川「まずな、タンスに入ってる、古代ギリシャ語で『私の墓に貴様の血など一滴もかけるな』って書いてあるTシャツなんけどー。」 って言っても、やっぱり全然伝わらない。 なぜなら古代ギリシャ語なんか家族誰も読めないから。 それでなっかなか送ってもらえなくて、かろうじて手元にある2、3枚のTシャツ着まわしてるみたいよ(笑)。 あいつアホじゃん…! 私「でも良かったー!なんか後藤が黒川さんがホムンクルス作ってるとか言うからさあ!!黒川さんが(さらに)遠い人になっちゃったみたいでさー!!」 黒川「後藤が?そう言ってたんですか?…よく分かりました。あとで8分の9殺しにしておきます。それじゃ。」 そんなわけで、来週が楽しみです!! もう素晴らしいプレゼントでヒーヒー言わせてやるわ!! そして後藤君の無事をそっと祈っています。 補足: ・「オリンピアド」の話はかなりはしょってしまいましたが…今年は696オリンピアドの第4年目。でも、古代ギリシャでは夏から一年が始まるので、今年の夏以降は697オリンピアドの第1年目です。 っていうかあともう少しでちょうど700オリンピアドだ!!!うわー!!今年697だから…あと12年後か!!2021年!?最初に古代ギリシャでオリンピックが開かれてから、700×4(年)で、2800年か!!すごいなー!! オリンピアドだと、700とか100単位の数って400年に一度しか来ない!!超貴重だ!! しかも700…!アポロンの聖数の「7」が入ってる!!絶対このオリンピアドの時のアポロンの大祭は逃せない!! ああ…私、そのころ何してるんだろ?まだギリシャ神話を勉強してるといいな。 拍手ありがとうございます!! お返事…書こうとおもったら拍手がメンテナンス中だ…!残念。 もう少しお待ちください!!
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ぎゃぁああああ!!アレスーーーー!!
・・・すみませんwいきなりコメ残しといて叫んだりなんかしてスミマセンw 絵上手いですね!! 凄いです!! 後ギリシャ神話のこととか読んでて凄く為になります!! 時々見てます! 次の更新も楽しみにしています^^ |
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藤村シシン古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。 高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。
◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。
お仕事のご依頼: euermo★gmail.com (*をアットマークに変えて送って下さい)
書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。 ★よく出てくる宿敵「黒川君」については →【黒川wiki】をご参照下さい。
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