藤村シシンぶろぐ


 

2009. 7. 22
      【ギリシャ旅行記:序章】・真夏のサンタクロース
〜ギリシャ旅行のいきさつ〜

突然ですが、みなさんにとって、 
「サンタクロース」といえばどんなプレゼントをくれる人でしたか?
 
 
私にとってのサンタクロースは縄文土器をくれる人でした。 
 
 
――私のギリシャ好き度が10段階評価で10だとしたら、 
私のサンタクロースことの日本史好き度は、
10段階評価で100 
…そして、実際日本史を生業にしている男。 
 
その彼からしたら、「自分がもらって一番嬉しいもの=縄文土器、=私の娘も縄文土器が一番嬉しいはず!!」…という今考えれば全く間違った等式の下、クリスマスには私の枕もとに縄文土器をそっと置いていたのでした。 
 
だから、私にとってのクリスマスと言えば、縄文土器の土の匂いで起こされる地獄の朝。 
幼稚園の友達の「サンタさんにセーラームーンのポシェットもらった!」という言葉に、
いいなあ…!と。私もセーラームーンが欲しい。縄文土器でもいいからセーラームーンが欲しい!! 
と願ったものです! 
 
しかしながら実際のところは、生まれた時から日本史漬け、 
という環境に、私自身は何の疑問も抱かなかった。 
 
 
だが、母だけは違った。 
このままじゃまずい、と。
「このままじゃ私の娘はとんでもない事になる!」と感じたらしく、この父の勢力を相殺するための秘策を練りました。 
すなわち、 
 
「あんたは今日から教会に通うのよ」 
 
完全に相殺の方向間違ってるよ!! 
むしろさらに私をカオスにするだけだぞ!!
 
…という感じですが、
日本史に対抗するには西洋、という思いつきで、 
私は教会の児童教室に通うことになったのでした。 
 
 
教会では本当に何もかもが新鮮だった! 
「外国はぜんぶアメリカ」ぐらいにしか思っていない幼稚園児の頭に、世界には他にも多くの国があること、日本神話の外にも世界があること…。色んな事を教えてもらいました。 
 
なによりも、この教会で私はハーデス様と出会った! 
 
というのも、聖書はもともとは古代ギリシャ語で書かれていた。 
その名残が今でも残っていて、ある時「地獄」という意味で 
「ハデス」という表現が使われている文に出会った。 
 
先生「このハデスというのは、元々はギリシャという国の神様だよ。すごく怖くて悪い神様なんだよ。」 
 
 
――子供にそんなこと言ったらもう頭の中ですっごい事になるじゃん!! 
私の中のハデスは頭からツノがたくさん生えてて、洞窟の中でコウモリをむさぼり食ってる奴!
そんなイメージを抱いて、自分が作りだしたその妄想にブルブル震えていました。 
 
 
――だけど、それからずいぶんたってギリシャ神話自体を見たとき、 
…それは違う、という事に気付いた。 
 
ハーデス様は頭からツノも生えてないし、コウモリが朝メシ代わりというわけでもない、むしろ……すごく優しい人だ。 
少なくともこのアポロンとかいう我がまま男よりは全然いい人だ! 
 
 
そう思った時、私は、宗教には空間的な広がりだけじゃなくて、 
時間的、歴史的な層があることを知った。 
 
そしてその土の中から掘り出した
「ギリシャ神話」という綺麗な石が、 
この時から子供時代の私の一番の宝ものになりました。 
 
だけど、子供のころの宝物などというものは 
大人になれば単なるガラクタになってしまう、というのはよくあることで、 
私もその例に洩れず、いつの間にか神話を忘れてしまいました。 
 
 
でも、唯一違ったのは…
その宝ものが10年経って心の片隅から出てきた、ということでした。 
高校三年の時、「聖闘士星矢」と出会い、その時、私は昔ギリシャ神話が好きだったことを思い出した。 
 
そして…
子供時代に一番美しいと思っていたその綺麗な石が…10年経った今でもやっぱり世界で一番美しい、と!いや、たぶん私の一生の中でこれ以上美しいものは見つけられない!! 
 
ギリシャ神話だ!! 
ギリシャ神話だったんだ、私が探していたものは!!
 
 
…そう気づいてからは、今まで順調に歩んでいた日本史街道を逆走し、選択科目を「世界史」に!!そして大学ではもちろんギリシャ神話を! 
 
 
だけど、「日本史」を世界で一番美しい石だと思っている父にはとっては、 
この娘の行動は面白くなかったらしい。 
 
この時から、父の
「娘を日本史に連れ戻す大作戦」が始まったのだった。 
ある時は、私と 
 
ギリシャ神話の冥界と、日本神話の黄泉、どっちがヤバいか」ということで口論となり、 
 
「それじゃあ見せてやるよ、お前に本物の黄泉というものをな…!!」 
 
ということになり、最終的に、
黄泉の入口があるという出雲の山奥の「いのめ洞窟」に私は拉致されました。 
 
「え?何なの?この洞窟に入るの!?ええーー!?真っ暗で何も見えないじゃん!!待ってー怖いよぉおおおお!!」 
 
「泣き事は地獄で聞く」 
 
――この時は本当にしぬかと思いましたが、そんな訳で、幾度となく彼は私を日本史に引き戻そうとしたわけです。 
逆効果なことが多々あるが! 
 
 
――そんな父が、去る5月30日、私の部屋にやってきた。 
そして飾ってあるアポロンを指さすや曰く、 
 
 
 
「お前はこんな素っ裸の男のどこがいいの。」 
 
「……素っ裸なところがいいんだけど…。」 
 
父「…どうしてギリシャの神は慎みとか情緒が無いの?あれでしょ?好きな女が浮気したからって、怒って矢で射殺したりするんでしょ?」 
 
私「ああ、(アポロンと)コロニスの話ね」 
 
父「日本人だったら、
浮気した相手に『季節が移り変わるように、あなたの心も移り変わってしまうのですね』ってな感じのイキな和歌の一句でも詠むぞ!!」 
 
「アポロンだって一句詠んだわ!殺した後だけどさ!!」 
 
「なあ、お前もギリシャ神話に浮気してるだけだよね?いつかは日本史に戻ってきてくれるよね?」 
 
私「――…そんな事をしたら、それこそ私はアポロンに射殺されてしまうよ。」 
 
 
父「――……分かった。
それじゃあ、ギリシャに行こう。」 
 
私「…………え…?」 
 
「お前がそんなにギリシャが好きなら、みんなで行こう!」 
 
私「…ええっ」 
 
「私、実はもう休みも取ってきたし、パスポートも取ってきた!!」 
 
私「ええええっ…!!」 
 
「私もお前が一番好きなものを見てみたい!ギリシャに行こう!!」 
 
 
ギャァアアアアアアーーー!!!!マジでーー!!うわっうわあああ!!最高!!あんた最高だよ!!!縄文土器最高だよ!!!! 
いくらでも私の枕もとに縄文土器を置くがいいよ!!私の本棚にあるギリシャ神話の本と古事記をいくらでも差し替えればいいよ!!! 
泣くよウグイス、平安京!!なんたらかんたら、鎌倉幕府!! 
最高!!父、最高ーーーー!!!!
 
 
 
…前置きが長くなりましたが!! 
そんなわけで、今日からのギリシャ旅行と相成ったわけです!! 
 
ギリシャから実況したいと思っているので、 
一緒に行くメンバー構成はこんな感じで、こういういきさつだよ!ということで今日の日記を書いてみました! 
ギリシャに行くのに日本史の話ですみません!(笑) 
 
もう日本史に命をかけてる父がまさか、ギリシャに連れて行ってくれるとは 
まったく思っていなかった…! 
しかし、早速、 
 
「よーし、
京都にたとえると、パルテノン神殿が金閣寺だな?!すると…ゼウス神殿が銀閣寺か?」 
 
――ギリシャに行くのになんか京都行くみたいになっちゃってるよ!! 
何がパルテノン神殿は金閣寺だよ!! 
 
そんな父と、母とともにギリシャに行ってまいります!! 
 
 
それでは、次の日記はギリシャからお伝えできると思います! 
(が、ダメだったらすみません!!) 
 
ちなみに、こっちの日記よりもサイトのトップページのつなビィの方が更新が頻繁にできると思います。 
一応ここにもアドレスを貼っておきます。 
http://ttapollon.tuna.be/ 
 
ではでは、行ってきまーーーす!!!京都…じゃねえ、ギリシャへ!! 
空の上から日食…もとい、アポロンとアルテミスの会合を見てくるぜ!!!
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
拍手ありがとうございます!! 
コメントもどうもありがとうございました!!お返事は7月20日分まであります!それ以降の方は、ギリシャから帰ってきた後に! 
 
..4:06
  
 



藤村シシン
古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。
高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。

◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。

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