藤村シシンぶろぐ


 

2010. 2. 22
      【前篇】戦慄のディズニ・シー!!
〜with 黒川と地獄の仲間たち

…私『黒川さん、明日のディズニーシーはアポロンの格好で来てください』――。 
 
 
<2月20日10:30 ディズニー・シー エントランス> 
 
…前回の日記の通り、大量にあまったディズニーの招待券で、黒川らとシーに行くことになった私。 
――思い返せば、1年前のディズニーランド。 
「最高にオシャレして来てくれ」と伝えたら、軍服でやってきたロンメル将軍こと黒川。(→参照。) 
 
…今回、黒川とシーに行くに当たり、私は考えに考えた。 
何と言ったらあの男が普通の格好でディズニーにやって来てくれるのか、と…。 
そして、前回の日記の通り、私は彼にこう伝えたのだった――― 
 
 
『黒川さん、明日のシーはアポロンの格好で来てください。』 
 
誰が見ても「美しい」と思える品行方正なアポロンのような! 
きちんとした格好で!!
 
 
黒川『分かりました!!任せてください!!』 
 
黒川さん、私、その言葉を信じてるよ…!! 
私はあなたの『アポロン』に全てをかける! 
ああ、信じているよ、 
 
あなたが普通の常識的な格好で、ここに現れてくれる、と!! 
さあ、私の祈りは届くのか、その結果は――!?
 
 
 
黒川『すみませ〜ん!藤村さぁ〜ん!お待たせいたしました〜!!』 
 
――そう言って走り寄って来る真っ黒のTシャツを着た男。 
その胸元に白抜きのギリシャ語で、
 
 
 
 
「エス・コラカス(カラスの所へ行け)」 
=古代ギリシャで最も呪われた言葉。「地獄へ落ちろ」の意。
 
 
 
黒川
「お待たせしましたぁ〜!アポロン登場です〜!!」 
 
 
 
――
えー今から黒川を殺します。 
 
 
「何のつもりだきさまぁーー!!!それのどこがアポロンなんだよーーっ!!!」 
 
黒川「フフフ…もちろん、
カラス=アポロンの神鳥!そして、疫病の神であるアポロンに相応しいこの呪いの言葉!!どうだ!!このTシャツ一枚で完璧にアポロンを表現しきった!!」 
 
 
私「………黒川さん…今までありがとう…
色々世話になったが殺す。」 
 
 
黒川「ちょっ、ちょ、待って下さい!!エ!?ダメでしたか!? 
 
てっきり僕は藤村さんが
『「その者、黒き衣をまといてネズミの海に降り立つべし」……おお…言い伝えは本当だったのじゃ〜!!』つって泣き崩れてくれると思ったんですが…」 
 
 
どこの谷のナウシカのつもりだ、お前は!!? 
 
ああああもう!!!
「オシャレして来い」つって軍服! 
「アポロンで来い」っつって呪いのTシャツ!! 
じゃあこれなんて言うのが正解なんだよ!? 
 
 
「もう頭きた!私、完っ全にキレた!!
来いっ!!お前に最高の冒険を味わわせてやるわーーっ!!」 
 
――そんなわけで、胸に呪いの言葉を掲げたアポロンと、 
私は冒険の海へ乗り出したのだ――!! 
 
 
【前篇】戦慄のディズニ・シー!!〜with 黒川と地獄の仲間たち
 
 
…さて、黒川の後輩・後藤君は午後から来るということで、 
まずは二人でシーを巡ることに。 
 
黒川「へえ、シーはなんだかロマンチックな大人の雰囲気なんですね…僕、ちゃんと楽しめるでしょうか…。」 
 
私「そうですね…じゃあ、まずは、黒川さんが最っ高に興奮するものを見せてあげますよ!」 
 
黒川「え?」 
 
私「黒川さん、ウンベルト・エーコの『フーコーの振り子』を読んだ事は?」 
 
黒川「もちろんありますとも!!当たり前じゃないですか!!僕が最も愛するオカルト小説です!」 
 
「…実は、それがここにあるんです。」 
 
黒川「…え?」 
 
「フーコーの振り子!!あの振り子の実物がここにあるんです!!」 
 
私は大航海時代の要塞を模した↓の中へと黒川を導いた。 
 
 
「フーコーの振り子」とは、
地球が自転していることを実証した振り子のこと。 
そしてシーの<ペンデュラム・ルーム>の中では、 
この巨大な振り子の実物を見ることができる! 
 
 
 
まあ要するにただデッカイ振り子が揺れているだけの部屋なのですが、 
これを一目見た黒川は、 
 
 
黒川
「…フーコーの振り子!!!僕…っ僕初めて見ました…!これ、日本にもわずかな場所にしか設置されてないんですよっ!」 
 
私「そうですね」 
 
黒川「この振り子が…地球が自転している事を初めて実証した…!!そうですよね!?」 
 
私「ええ、そうですよね」 
 
黒川「見てください!!この振り子が描く軌道!!これ、振り子が回っているんじゃないっ!僕たちが回っているんですっ!地球が回っているんですよっ!!振り子の軌道が地球の自転を記しているんですッ!うぉおおお〜〜!!」 
 
私(…ただの振り子でここまで興奮する人初めて見たな…。) 
 
黒川「ああ…地球がまわってる…僕もまわってる…!!藤村さん、あなたも回ってます…!」 
 
私「そうですか」 
 
黒川「すごい事じゃないですか!?地球が回っている!今、この瞬間さえも!!藤村さん!地球は回っているんですっ!! 
 
黒川はガリレオが400年も前に発見し、 
フーコーが200年も前に実証した地動説
を高らかに宣言すると、 
 
黒川「ああっ!何と美しい軌道なんでしょう!!ウンベルト・エーコの『フーコーの振り子』の出だしの言葉の通りです!!『…その振り子が描く模様は、』」 
 
私「…
『その模様は、曼荼羅(まんだら)の構図、 
    不可視の五芒星(ペンタグラム)、 
    それとも神秘のバラの花。』
」 
 
黒川「…
『いやそれはむしろ、広漠とした砂の上を 
    際限なく移動するキャラバンの残した足跡か、 
    あるいは何千年もの単位でゆっくりと進む 
    移動の歴史なのかもしれない』
!!、」 
 
私&黒川「「…
『あのムー大陸から離れたアトランティスの住民も、 
       きっと同じように動いていたのだろう』
!!」」 
 
 
黒川「あああ〜〜っ本当にその通りでした、この振り子の軌跡は!!!ああ僕、死んでもいい!!今、地球の自転に巻き込まれて死んでもいいっ!!」 
 
 
――何度も言いますが、目の前にあるのは本当にただの振り子です。 
 
そのまま、
黒川がヒヨコだったら振り子のことお母さんだと思っちゃってるんじゃないか、 
ってくらいに目で追い続けること数十分。
 
もしかしてこいつ…このまま24時間、地球が一周回ってくるまでずっとこの振り子を見ているつもりじゃあるまいな…?と心配になってきた所で、 
 
 
黒川「…藤村さん…本当にどうもありがとうございました…!満足いたしましました…!もう、最高に興奮させて頂きました…!!」 
 
「…この程度で『興奮した』なんて言ってほしくない!お楽しみはこれからです!!黒川さんがもっともっと興奮するものが近くにあるんだ!!」 
 
黒川「え!?」 
 
『アルケミー・ラボラトリー(錬金術の実験室)』行きましょう!!!」 
 
 
――「アルケミー・ラボラトリー」は、 
中世の錬金術師の実験室をイメージした部屋のこと! 
怪しげな薬品や、ヤモリのはく製とかが展示してあり、 
あこがれの職業:錬金術師の黒川にはもうたまらない作りの部屋なのだ! 
 
 
 
もうここで黒川さんの興奮度合いと言ったら!! 
 
黒川「…ああ…嘘でしょう…?こんなの…嘘でしょう…っ!?」 
 
私は錬金術のこと詳しくないので、残念ながらこの時黒川さんが発した専門的な言葉の数々を、今再現することができないが! 
だけどこれだけは言わせてもらいたい! 
最っ高に興奮していた!! 
 
黒川
「卑金を純金に変え!永遠の命を作り出す!!ああ、そんな錬金術に僕はずっと憧れていたんです!ずっとずっと大好きだったんですっ!!」 
 
もう最終的に放心状態になるくらい興奮していた!! 
 
 
天体儀の部屋 
 
 
黒川「ああ、もう!もぉおお!!ディズニーシー最高じゃないですかーーっ!!フーコーの振り子も、錬金術の部屋もあるなんてーーっ!!僕、子供の頃、小説の『フーコーの振り子』読んで錬金術師に憧れたんですよーーっ!!」 
 
私「…じゃあ、黒川さん、ジューヌ・ベルヌの
『海底2万マイル』も読んだことある?」 
 
黒川「ええ!子供のころ何度も読みました!」 
 
私「じゃあ、海岸で、
左巻きの巻き貝を探したりしませんでしたか?」 
 
黒川「!!ええ、ええ!探しました!!探しましたよ!!左巻きの巻き貝!ものすごく珍しいんですよね!ネモ船長が言ってました!!ああ、懐かしいです…!!」 
 
私「じゃあ、『地底探検』は?」 
 
黒川「読みました!!もちろん!!それで僕、家にある古い本を手当たり次第にめくって確認したんですよ!本の中に、」 
 
「本の中に、地底への道を記した暗号のメモが挟んでないか、でしょ!?」 
 
黒川「ええ!!ええ、そうですっ!!」 
 
 
それじゃあ、左巻きの巻き貝や、古本に挟んであるメモを探すよりも! 
もっとずっと偉大な冒険に出かけようぜ!!
 
 
『海底2万マイル』『センター・オブ・ジ・アース』乗りに行きましょう!!」 
 
 
そんなわけで、アトラクションに乗ったりファストパスを取ったりして、 
「そろそろ昼飯にしようぜ」と相成ったわけですが、 
ここで黒川からとんでもない提案が。 
 
黒川「…そうだ、せっかくだから藤村さん。ゲームをしませんか?
『ギリシャ語しりとり対決をして、負けた方がお昼のお酒をおごる』というのはどうでしょう?」 
 
私「フンッ、いいですけど。」 
 
黒川「じゃ、Α(アルファ)から。先攻は藤村さんにお譲りします。」 
 
私「う〜ん、じゃあ……ΑΠΟΛΛΩΝ アポロン!!」 
 
黒川「『ΝΥΞ』 ニュクス(=夜)。」 
 
私「Ξ(クシー)
か…え〜と、じゃあ…ΞΕΡΞΕΣ 』クセルクセス(ペルシャ王の名前)!」 
 
黒川「『ΣΤΥΞ』 ステュクス(=冥界の川)。」 
 
「え?またΞ??えーと…Ξ、Ξ……ΞΕΝΙΑ』 クセニア(=もてなし)。」 
 
黒川「『ΑΝΑΞ』 アナクス(=王)。」 
 
 
私「……。…黒川さん…あなたまさか……」 
 
黒川「ふっ、ようやく気付きましたか、僕のΞ(クシー)攻めに。藤村さん、ギリシャ語にはΞで始まる言葉はほんのわずかしかありません。」 
 
私「…っ!黒川貴様…最初から私をハメようと…!?」 
 
黒川「ええ。最初にあなたにΑ(アルファ)を渡せば、能天気に『アポロン(ΑΠΟΛΛΩΝ)』とか『ハーデス(ΑΙΔΗΣ)』とか言ってくれるだろうと思って。本当に分かりやすいですね。」 
 
私「くっ…黒川ぁああ〜〜きさまぁーーー!!!」 
 
黒川「さあ、あなたの番ですよ。楽しみですねぇ…どこまでΞで耐えられるのか…」 
 
「く……っくぅうううぅ〜〜〜っ『ΞΕΝΟ
Σ』 クセノス(客)!!」 
 
黒川「『ΣΠΙΝΞ』 スフィンクス。」 
 
「く〜〜っ!Ξ(クス)!クス……!…くす……くす玉………」 
 
 
 
――結果。
 
 
 
 
黒川「いや〜悪いですね〜こんな素敵なレストランでお酒おごってもらうことになっちゃって〜!!」 
 
…私、惨敗。
 
 
キャスト「ようこそ。お飲み物は何かお持ちしますか?」 
 
黒川
「赤ワイン。フルボトルで。」 
 
 
気は確かか?
 
 
私「ちょ…オメーもっと遠慮してドブロクとか頼めよ!!何が赤ワインフルボトルだよ!!」 
 
 
 
二人で昼間からこんなに飲むの!?ホントに!?
 
 
黒川
『和民のディオニュソス』と謳われた僕からしたら、この程度の酒は水みたいなもんです。」 
 
――ずいぶんショボいディオニュソスだなオイ!! 
 
と、いいつつ真っ昼間から二人でワイン一本を干し! 
 
「ああ、もう切れた!!私、もうアッタマ来た!!」 
 
 
※後半に続く!  
 



藤村シシン
古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。
高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。

◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。

お仕事のご依頼 euermo★gmail.com
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書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。




★よく出てくる宿敵「黒川君」については
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