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のろのろ運転のおかげで車窓から町の様子をゆっくり眺められます。昨年の6月に出向いたときにも、やはりバスでした。 あのときには、とにかくあちこちにがれきの山があったんですが、そういうものがほとんどなくなっています。どこかにまとめておかれているんでしょうね。
朝9時発のバスに乗って、石巻に着いたのは昼前でした。ここでも重いベタ雪がまたたく間に傘に積もります。
駅前から乗ったタクシーの運転手さんに街の様子を尋ねてみました。 「まだ線引きも出来てないからね、家が建てられないんですよ。海の近くは今も水に浸かってますしね」とため息をつかれます。 更地は駅から離れるにつれて広がっていきます。
なつかしい災害救援センターの拠点「焼き鳥とんこ」も雪に埋まっていました。ここでたっぷりの朝と夕ごはんをいただいて、ボランティアに出かけたんです・・・ なつかしい阿部さんご夫妻、それにお宿を提供してくださった桜田さんといろんなことを話しました。
「今、仮設住宅に暮らす人たちに一番喜ばれているのは、いろんなものを載せてあちこちを廻っている移動スーパー車なんですよ。だけど、週に1回しか廻ってこないんだよね。あれが週に3回来てくれたらありがたいんだけどね」と。
山のてっぺん、田圃の中、とんでもなく不便な、近くに店のないところに仮設住宅が建てられています。(昨年紹介させてもらった、自衛隊の駐屯地に隣接する仮設は一番便利な場所にありますが)。空いた土地を探せばそういうところになってしまうのは仕方がないのかもしれませんが、車を運転できない高齢者にとって買い物にでかけるのは至難の業に近い。
「移動スーパー、シニアのボランティアにもできるんじゃないかな」 「品物はどこで調達するの?」 「生協?」 「移動スーパー、生協がしたらいいのにね」 「できるんじゃないの」 「ところで、仮設住宅に電子レンジは付いているんですか?」 「うん、レンジはついてますよ」 話をうかがっているうちに、すこしづつぼんやりながら今の様子が見えてきます。 「だけどね、よそでとれた魚を買ってたべないといけないっていうのが、一番腹が立つわ」と、みなさんが言われます。それもそうです。石巻漁港が崩壊、およそ650m、日本最長の魚市場はあとかたもなく、今は仮設市場が3棟あるだけ、復旧にはほど遠い状態なんだそうです。 「何か希望がないとね、家が残っている人はいいんだけどね。仮設で暮らしていくのはしんどいね。もとはみなさん大きな家に住んでた人だから・・・鬱になってる人も多いんだ。話し相手もいるんですよね」
どういうボランティアが今必要なのか、は、時間の経過とともに変わっていくんですね・・・
仙台でのシンポジウム「いのちを守る森の防潮堤」の話をしましたら、桜田さんはその構想も北上中学校で行われた植樹も詳しくご存知でした。なんだか胸の中がほおっと温もった・・・つづけて支援企業の話もしたんです。そしたら、 「うん、トヨタはすごいと思いますよ。とにかくね、いろんな企業が仮設住宅を建ててくれたんだけど、トヨタの仮設だけはほとんど苦情がでてないもの」 この冬の寒さはものすごく厳しかっただけに、その冬の間も苦情がでなかったトヨタの仮設住宅の良さは本物だったようですね。
「今日はまた雪だけど、こういうね、このべったりした雪が降ったら、もう春だからね」
石巻名物のおいしい二度蒸し焼きそばと、「とんこ」自慢の焼き鳥をいただいて、おなかもこころもふっくら
また来年も出かけて、北上中学校に「ほっこら」「ほっこり」つくったマウンドに植えられた「いのちの樹」が育っているのを、この目で見てみたい・・・です
どうぞ来年は復旧なったJR仙台石巻線に乗って出かけられますように・・・
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| ..2012/03/12(月) 01:04 No.409 |
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