Title: Re:自分のわがままで
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某政令指定都市に所在する寺を預かる天台を宗とする者の立場から。
基本的には、ご実家の墓所を管理なさっている方の同意を得れば可能です。
ですが、私の立場上、軽々に「永代供養」・「墓じまい」を考えるよりは女系であろうがなんであろうが、ご縁のある方にお墓を守っていただくことを望みます。 なぜなら「先祖供養」とは血縁のあるヒトを祀るだけではなく、血縁がある人々に代表される自分(たち)に縁のあるすべての人々のことを記憶し考え続ける営みのことだからです。それは縁の濃い家族・親戚・ご近所さんをはじめとして、縁の薄い世界のどこかの誰かや数世代前の遺伝子上の先祖まで、さらには子々孫々に至るまで、色々な人間関係の中に自分が存在しているということを確認する作業です。「墓」というものは、その確認作業のためのモニュメントです。
ところで、「お墓」というものは基本的に個人に属するものです。現在の「家=世帯」の墓が主流となったのは(おそらくは)高度経済成長期以降の風習であり、本来は「イエ=一族」の墓でした。私自身は、旧民法および慣習法の「本家筋は墓持ちである」という感覚の延長で、新民法の世帯主が本家筋になるために世帯の墓を持った、と考えています。 また、日本の家族制度では家業のための婿取りは女系の家にも入り婿にとっても恥ずべきこととは考えられていませんでした。ですから「男系」の「同姓」でなければ「墓」を継いではいけない、という認識は誤解のもとにあると考えてかまいません。
以上、ご参考までに。
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