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Name: 玉地蔵
Date: 2015/07/30(木) 08:37
No:5238
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Title: 戒名とお布施、各宗派や税務署での規則
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こちらの戒名についての記事を見て、無知なために大変なことをしようとしているのではと案じお伺いします。戒名を巡りお寺様と相談がまとまりません。 先日母を亡くし、菩提寺(南関東の真言宗豊山派)に戒名につき相談したところ、会計の担当者の方に200万(戒名代と、同額のお布施)とただ言われ、葬儀やこれまでの介護費用でそのような額をお出しするのが大変難しいが、本人と亡き父の戒名のバランスや地域への貢献があり、それを変えてしまうのは忍びないと何度も申しましたら、ようやく住職様にお目にかかれましたが、説明は以下のとおりでした。
1.この額(戒名料とお布施)は本山の規定で変えられない。 2.税務署が調査をする際、それぞれの戒名料に応じた額を取っているか過去の帳簿をすべて調べられるので、戒名料やお布施の額を変えると脱税になり、信徒の側も取り調べを受ける。 3.税務署の指導でお布施の領収書は必ず出す決まりで、他方で、税務署の指導で内訳を書くことはできない。 4.額が難しいなら、院号・居士ではなく信女にせよ。女性なので普通である。 5.そして、信女から、お布施を収めて徐々に戒名の格を上げればよい。ただしその場合毎回祈祷がいるのでその分費用は掛かる。 6.あるいは分割の支払いでも良いが借用書を提出し三回忌までに収めること。 7.(お支払できる範囲で、父と近い格の戒名をいただけないか伺いましたら、)戒名の希望などをお寺に意見をするのは非礼である、そのような人は見たことがない。 8.費用に問題があれば常識的には戒名料とお布施を優先し、葬儀については家族葬か密葬にするものである。
当家は代々このお寺を菩提寺としており、父が20年前に亡くなった際にはもう少し少ないお布施等で、院号と居士をいただきました。亡き父母は、二人三脚で地域のために働いており、同じようにしたかったのですが、今すぐ用立てるには高額のものを、制度だからとのご説明のみで、とにかく父と同じにするか一番少ないお布施の額のものにするかを選べとのことで、にわかに信じられないようにも思われ、他方で私どもの無知であればお詫びをしたく、そのような制度が常識なのか、お伺いする次第です。
また、住職様の指示のとおりにすると、院号・居士をいただいた父と、信女の母ではあまりに違いすぎ申し訳ないとも思います。仏様にお仕えした後に格を変えていくというのも、本人も混乱するように思われます。
それに葬儀を簡単にというのも、社交的な母が残念がると思いできません。
どうか、ご助言を賜れますようお願い申し上げます。
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Name: 天台沙門
Date: 2015/07/31(金) 00:08
No:5239
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Title: Re:戒名とお布施、各宗派や税務署での規則
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某政令指定都市に所在する寺を預かる天台を宗とする者の立場から。
御母堂さまにはお悔やみを申し上げます。
基本的には、布施料一般は慣習および菩提寺と檀家との信頼関係に基づいているものですから、社会一般でいう「適性価格」はありません。もっとも、神社さんが一定の枠を設けた「正札」を掲げている通り、同様の「明朗会計」寺院もあります。
さて、いろいろと奇妙な感じがありますが、信女号でご葬儀をなさり御母堂または御父君の年回を期に院号をいただくことでよろしいのではないでしょうか?
以下、私の感想です。
※ (1)この額(戒名料とお布施)は本山の規定で変えられない。 豊山派さんではそうなのかもしれません。私にはお答えできません。
※ (2)税務署が調査をする際、それぞれの戒名料に応じた額を取っているか過去の帳簿をすべて調べられるので、戒名料やお布施の額を変えると脱税になり、信徒の側も取り調べを受ける。 (3)税務署の指導でお布施の領収書は必ず出す決まりで、他方で、税務署の指導で内訳を書くことはできない。
(2)は事実に反します。 葬儀料をはじめとした「お布施」一般は宗教行為による収入にあたりますから、宗教法人にとって申告対象ではありますが課税対象ではありません。よって「額を変えると脱税」にはなりません。ただし、宗教行為による収入が過少だと、税務調査において「その差額はどうなりましたか(住職さんが懐に入れてないでしょうね? だったら住職個人の所得として課税しますよ)」と「お訊ね」が成されます。そうであっても、宗教法人としては「これこれの事情で小額の布施料で院号をお授けしました。どうぞ○○家さんに裏を取ってください」と言えばすみます。 そもそも、宗教行為に対しいくら払おうが、それは「信教の自由」の問題です。Aさんから100万円をいただき院号居士格で、Bさんからは300万円で院号居士格であったとしても、その判断と基準に税務署が立ち入る権限はありません。一物一価でないことは税務署も知っていますから、やはり「額を変えると脱税」にはなりません。 ただし、葬儀費用は相続財産から控除されますので、檀家側が布施料を過大に申告すると税務調査が行なわれる可能性があります。非常に単純化しますが、相続財産100%に対し実際の葬儀費用(=布施料)が1%だったとすると相続税は99%に対してかかりますが、葬儀費用を10%と相続税申告をすると90%が相続財産となります。差額の9%部分の相続税が檀家さんの「脱税」扱いになります。(註:寺が檀家さんの布施を過少申告すると差額は住職個人の所得の申告漏れとみなされるでしょう。)
(3)については、2015年7月現在、私の預かる寺を所管する税務署からは布施料の領収書の交付義務に関する指導は頂いておりません。しかし、葬儀布施料の領収証は檀家さんの相続税申告に必要ですからさしあげております。私的には、明細つきの領収証を発行するように要請される趨勢と考えております。 ともあれ税務関係の詳細は税務署に問い合わせください。(註:税務署は誤った素人判断による課税ミスを嫌います。事実関係を明らかにして質問をすれば「申告されれば非課税ですが、申告がないと課税逃れとみなされる案件です」など事務的かつ適切に答えてくれます。)
※ (4)額が難しいなら、院号・居士ではなく信女にせよ。女性なので普通である。 (5)そして、信女から、お布施を収めて徐々に戒名の格を上げればよい。ただしその場合毎回祈祷がいるのでその分費用は掛かる。
これは、どの寺院でも行なう対応と考えます。
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(6)あるいは分割の支払いでも良いが借用書を提出し三回忌までに収めること。 (7)お支払できる範囲で、父と近い格の戒名をいただけないか伺いましたら、)戒名の希望などをお寺に意見をするのは非礼である、そのような人は見たことがない。
これは怪しいですね。 私の預かる寺の実例ですが、若くして夫を亡くした方が長期にわたり六地蔵の帽子と前掛けを寄進してくださいました。このご貢献に対し、夫さんの三十三回忌に院号をお授けしました。ですから「仏様にお仕えした後に格を変えていく」ことも気になさらなくてもよいのではないでしょうか。なお、ご本人にも「院号格の葬儀料」を頂くまでもなく院号をお授けしています。 私は「三回忌まで」と期限を設けることには、なんだかな〜、と感じますし、だいたいにおいて「戒名の希望をすることに対し非礼である」ならば「戒名料を払うから、戒名の格を上げてくれ」という希望も非礼であるということで、戒名料1000万でも院号をつけない人にはつけないんですよね、とお訊きしたいところです。
※ (8)費用に問題があれば常識的には戒名料とお布施を優先し、葬儀については家族葬か密葬にするものである。
寺院サイドが「家族葬か密葬」を勧めるのはいかがなものかと。 そもそも「密葬」は「本葬」の対語ですから、理論的には社会的に千人規模の「密葬」が行われ親族による十名以下の「本葬」が行なわれることもあるわけで、必ずしも規模の問題ではありません。また「家族葬」という言葉は「密葬=ごく近しい人々しか参列しない小規模な葬儀」の言い換えとしてできた言葉ですから、親類縁者と友人知己が集まった百人規模の「家族葬」もありえます。
私自身は、檀家の葬儀を務めることが菩提寺の住職の最大の義務である、と考えておりますので「常識的には葬儀を優先し、戒名料とお布施は二の次である」との立場をとります。
以上、ご参考までに。
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Name: 玉地蔵
Date: 2015/07/31(金) 10:23
No:5240
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Title: Re:戒名とお布施、各宗派や税務署での規則
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天台沙門様
大変丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。まだ親族間で検討中ですが、お言葉をいただき、格が違ってしまうにせよ、その時にできる範囲のことをしきちんとお別れの会をすることも、正しい選択であると分かり心がとても落ち着きました。
他方で、檀家に分かりやすく説明しようとしたのかも知れませんが、制度について住職様が事実と違う説明をなさったのならば、本当に残念です。仏教では嘘をついてはいけないと教えられたように思いますが。
「それなら他の寺に行け」と言われ親を思う気持ちが人質に取られるかのような扱いを受け、長年檀家として母は本当にこのお寺のことを気にかけていたのに、悲しい気持ちで一杯でございました。 今回のお話をいただき心が軽くなりました。 ありがとうございます。
豊山派の規定についてもう少しお待ちしようかと存じます。
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