なんの話かというと
この日の日記で書いた元後輩の話です。本日某観光施設にお出かけしたら、その後輩ちゃん(仮にモエミちゃんとしよう)が受付嬢として入口に座っていました。
「お久しぶりですコジマさん。」
「あれ、モエミちゃん?・・・・・バイトのかけもち?ここでも働き始めたの?」
「いえ。前のところは辞めました。」
「ハァ!?」
とはさすがに口にできず、
「ま、まあ、新しいところでも頑張ってね。」
とひとまずオトナの対応にとどめたが、内心はまさに
”ハァ!?”
である。だって、私らの職場を辞めて新しいところに行ったのが今年の2月。それなのにそこもやめてまた転職したわけですからね―
※ ※ ※
この日の日記では意図的に書かなかったが、彼女は決して円満に退職したわけではなかった。いや、円満どころか周囲の人間とバトルを起こして
「私明日から来ません。」
と言い放ち、本当に次の日から来なくなってしまったのである。当然ながら周囲の人間は
「なんだアイツは!!」
と大激怒。
もちろんいきなり辞められたらシフトの組み直しとかで大変なので、周囲の人間が説得してバトルした日の翌々日から1週間だけ来てもらったが、それでも連日職場の片隅で
「私もうこんなところまっぴらなんです。」
「だからって”イヤになったからやめます”っていきなり来なくなる奴があるか!」
って言い合いのけんかしてたなあ。
それまで周囲の人間は、モエミちゃんにやや同情的だった。というのも、彼女と全く同じ日に同じ職種で採用になったアルバイトさん(その人も女性でモエミちゃんと同じ年)がいたのだが、年に1度の査定の際、その人は普通に昇給したのにモエミちゃんは昇給を抑えられてしまったからである。それで
「やー、モエミちゃんかわいそう。」
「あんなに一生懸命がんばってるのにねえ」
と陰に陽にはげましていたのだが、こんな辞め方をしてしまったことから一気に評価が下がった。
「あんな辞め方をするような子だったなんて。」
「そういう人間性の持ち主だから昇給も抑えられたのかしらねえ。」
「見る人はちゃんと見てたってことか。」
・・・・世の中ってシビア。そいえば前にモエミちゃんから恋愛相談を受けたことがあったけど、内容が
「片思いの相手に告白したんですけど、”オレ付き合ってる人たくさんいるからお前は水曜日の女ね”って言われたんです。でも、あきらめきれないからその条件でOKしていいでしょうか?」
って話だった。どう考えても
”そんな男やめとけよ”
と言いたくなる話だったなあ(言ったけど)。してみると、はじめからどっかズレた子だったのかも知れないな―
あの時
”頑張れ”
とエールを送ったのはなんだったんだと少し空しくなるお話でした。