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  両親の離婚に伴う姓変更・お墓の取り扱いについて

[5017] 野村
[5018] 天台沙門

Name: 野村
Date: 2013/09/08(日) 05:04   No:5017
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Title: 両親の離婚に伴う姓変更・お墓の取り扱いについて    
こんにちわ。相談させてください。
前半は背景説明のために、私的な事情が存分に盛り込まれておりますが、何卒ご容赦ください。

〇背景
私が6歳の頃、母は実父と離婚しており、子供3人(長女(32歳)、次女(29歳)+末っ子長男(25歳)の私)を女手一つで育て上げました。(姉は二人とも既婚、私は独身)
その後、私が14歳のときに、母は義父と再婚しました。
そんな両親ですが、先日(2013/7)、離婚しました。(義父の浮気が原因)

以上を踏まえて下記2点、相談させてください。

〇質問
1.姓について
母から姓の変更を求められています。
具体的には、義父の姓(仮に野村とします)→母方の姓(仮に本村とします)に変更をしなさい、ということです。
どうやら、私が義父の姓を使い続けることについて、生理的に嫌がっているようです。尚、母も2013/7の離婚まで義父姓を使用していましたが、離婚と同時に旧姓(本村)に戻したそうです。

私としては、
・社会人の成人男性が婿に入るわけでもないのに、名字を変更することについては抵抗感がある。
・会社への説明が立たない(しなくても良い説明をすることになる)。
以上の点から、「義父とは戸籍上は独立させるが、名字は義父姓を使用する。」との妥協案を母に提案しました。
が、先祖継承?の観点から良くない、母から言われています。
先祖の霊?は人の姓に敏感に左右され、今回私が戸籍や姓を独立させることで、先祖からの血筋が途絶え、今後の子孫への説明がつかない、私及び子孫へ悪影響があると言って心配しています。
以上のような悪影響は何か起こりうるのでしょうか。

2.お墓について
私が「野村」として、姓を独立させた場合、母はどこのお墓に入ればよいか、悩んでいるようです。母方では「本村」の姓としてお墓はあるのですが、母はそこには入りたがっていない状況です。入ったとしても、私「野村」の子孫はいずれその墓には参らなくなってしまうだろうとの懸念があるからです。
私としては、当面は私が参ることに加え、母には兄とその子供(長男)がいるため、誰もお墓に参らないなどといった状況はないと思っています。
以上の解決策として、下記のように考えていますが、問題はないかご教示いただきたくお願い申し上げます。
1.母の死後は「本村」の墓に入ってもらう。
2.私(及び私の未来の配偶者)の死後は、「野村」姓ではあるものの、「本村」のお墓に入らせてもらう。その際、もちろん「本村」側の許可はとります。
→要するに異なる姓であっても、お墓の中にはいれるか、ということです。

また、姓の異なるお墓へ参ることについても、母は何らかの悪影響があるといっています。例えば「野村」の私が、「本村」のお墓に参るなど。以上のような悪影響は起こりうるのでしょうか。

非常に長くなりました。現在上記のような状況で母ともめており、苦しい状況にあります。どなた様かお知恵を拝借頂けると幸いに存じます。





Name: 天台沙門
Date: 2013/09/10(火) 09:56   No:5018
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Title: Re:両親の離婚に伴う姓変更・お墓の取り扱いについて    
某政令指定都市にある寺を預かる天台を宗とするものの立場から。

まずは、ご母堂に「では、なぜそう考えているのか?」と訊いてさしあげましょう。
ご母堂のお考えの基本は「同姓による祭祀が絶対善である」という点であり、それはそれで宗教的に合理的なのですが、しかし伝統的な日本の信仰習俗からははずれているとおもわれます。
おそらくは、ご母堂は義父さんとの離婚に対する貴兄の承認行為として、貴兄が同姓を名乗られることを望んでおられるのでしょう。



Q1:別姓の人物による先祖供養
A1:なにも悪影響は発生しません。ご安心ください。
もっとも、なにか悪いことが起きた場合に、別姓の人物が先祖供養をしたからだと判断することを妨げることはできません。ただし、仏教の本義である縁起説に基づけば、先祖供養の形式という事象は因縁の一部に過ぎず、例えば、もし貴兄が飲酒運転をして事故を起こした場合、その因果関係は別姓になったことなのか飲酒にあるのか、どちらに重きをおくべきかは合理的に考えよということです。
大切なことは、先祖という自分につながる人々を供養(記憶)するということであって、そのためには同姓であることは充分条件であるかもしれませんが必要条件ではありません。なぜなら日本人の習俗としては母方(異姓!)の祖父母も先祖と感じているはずだからです。
震災や戦災や、突発的な死を想像しましょう。ご母堂のお考えでは、家を継ぐべき一人息子を失った父母が、すでに婚家の姓を名乗る一人娘に供養をされてしまうと、「先祖からの血筋が途絶え、今後の子孫への説明がつかない、私及び子孫へ悪影響がある」ということになります。
なにかおかしくありませんか?

Q2・1:私が「野村」として、姓を独立させた場合、母はどこのお墓に入ればよいか?
A2・1:大前提から言えば、その墓所を管理している人が許可すれば、たとえ血縁のない方であっても異姓の親戚であっても問題はありません。
私は貴兄がご母堂の墓所を確保なさり将来的には貴兄のご家族が管理なさることが最善と考えます。次善はご母堂ご実家の墓所を利用させていただくということです。
しかし貴兄のご質問の場合は「亡くなった親の墓所をどうしよう」ではありませんから、私は将来その墓所に眠るであろうご母堂のご意思を尊重なさることを第一とすべきと考えます。

Q2・2:姓の異なるお墓へ参ることについても、母は何らかの悪影響がある
A2・2:この件に関してもA1と同様です。
このご母堂のお考えでは、婚家の姓を名乗る女性が実家の墓参をすること、異姓の親戚の墓参をすること、さらにはお世話になった非血族の方の墓参をすること、それらすべてに悪影響があるということになります。失礼ながら、ご母堂ご本人はそういった墓参をなさらないのでしょうか?

私は異姓による先祖祭祀を是とします。なぜなら、最終的に死者を悼む行為は個人的なものであって、血縁や家名や「集団」というものから自由であるべきと考えるからです。
しかし事実として異姓での先祖供養を善しとしない方々が少なくありません。多数派といってもよいでしょう。ならば、異姓での祭祀をよしとしない理由はなにかを知ったうえで、その理由に基づいた判断・行為をすべきでしょう。

以上、ご参考までに。



以下は、余談です。



私見ながら、「同姓でなければ先祖供養はできない」という気分には社会的背景と文化的背景が存在すると考えられます。

社会的背景は、明治憲法における「家督」と現憲法における「世帯」の概念が同一視されていること、ならびに日本の文化において氏と姓と名字が同義として混用されてきていることがあると考えられます。
確かに、かつては先祖祭祀のために、親戚の男子を養子にしたり婿養子をとることが一般的に行われていました。しかし、これは「先祖祭祀の義務」が「家の相続の権利」と同値(家督相続した者が先祖祭祀をすべき)とみなされてきたためです。この感覚が、同姓でなければ先祖祭祀はできない、という「常識」の基底にあります。あくまでも家督のために祭祀も継ぐのであり、祭祀のために家督を継ぐのではありません。

文化的背景として、先祖祭祀は同姓が行うべきとする思想があります。厳密には、男系子孫が先祖祭祀を行うべきという思想です。
もともと氏神というものは血縁集団(氏・姓)の祖霊神であり他氏の者がみだりに参拝することはできないものでした。ご母堂の「異姓の者は他姓の先祖祭祀をすべきでない」というお考えと同様ですね。この思想の本質は男系による先祖祭祀にあります。大陸・半島における夫婦別姓(氏族からの異姓排除)の習俗もこの思想によると考えられますから、日本における婿養子という制度で女系相続を容認する点とは大きく異なります。儒教圏ではあくまでも「男系」を重視するに対し、日本で重視するのは「家名」です。
もともと、氏と姓と名字というものは、それぞれ血縁集団・天皇家との関係・氏族内の居住地による呼び分けでした。それが現代日本では、氏・姓・名字は同じものとしてとらえられています。日本社会が血縁集団より地縁集団を基礎とするようになると、氏姓という血縁集団の結束よりも居住地や本貫地を冠した名字が社会的に優勢となり、結果としての氏姓・名字の混用および名字の優勢が発生したわけです。この過程に並行して、血縁を象徴する「男系」よりも、血縁から自由になった「家名」を重視する意識が日本文化に根付いてきたと考えられます。
(氏・姓の実例:源朝臣家康=源氏に属する朝臣の家康)
(氏・名字の実例:熊谷次郎平直実=平氏に属し熊谷を領する者の次男の直実)


以上





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