藤村シシンぶろぐ


 

2008. 7. 21
      ついに降臨!本物のハーデス様! (+ポニョの感想とか)

(Special Thanks for たけうち様!)
 
―ある時は、 
先輩「ねえねえ、
藤村さんが好きなハーデス様って、頭が山羊でオッパイあるやつだよね?」 
 
「それは
バフォメットじゃないでしょうか…。ハーデス様にはオッパイとか無いです。」 
←悪魔バフォメット 
 
―またある時は、 
友人「ハーデスって、あれだっけ?
陰気なところにいて、全体的に茶色っぽくて、触角があって、体中まだらの模様があるんだっけ?」 
 
「フナムシかよ!!」 
←フナムシ 
 
もうこういう事が起こるたびに、私は自分の携帯の待ちうけ画面(↓)を開きながら、 
(←ハーデス、ペルセフォネー、アポロンの図) 
私「
コレ!ハーデス様ってこれよ!!オッパイもねえし体中にまだらの模様もございません!!」 
 
――そんな感じで、
「これってハーデス様だよね?」という進言に対しては完全に疑心暗鬼になっている私の元に、先日、サイトを通じて一通のメールがきました。―― 
 
「(要約)はじめまして。先日、ドイツに旅行した際、あるお城の噴水のそばに、 
三叉の矛を持ったポセイドンの像がありました。 
 
でも、おかしいんです。その像の足元に…頭が三つある犬がいるんです。 
三頭の犬のケルベロスはハーデスのシンボルのはずですよね。 
だとしたら、もしかして、この像は… 
実はポセイドンじゃなくて、ハーデスではないですか? 
写真を送ります。 たけうち
(様)」 
 
 
――言っておくけど私、もうその手には乗んないかんね。 
「もしかしたらハーデス様っぽいポセイドンの像」?……絶対ポセイドンだってそれ…。
だって私、ハーデス様の像なんか一度も見たことない。言ってて悲しくなってきたけど、ギリシャやイタリアですら一度も見たことない!!そんなフナムシみたいな男がドイツのこじゃれた城にいるはずないって!! 
噴水のそばにあって三叉の矛持ってんならポセイドンだよ! 
――まあ、とりあえず、今から問題の彫像の写真を見てみよう!! 
 
 
<送ってくださった画像> 
 
 
ほーらやっぱりポっ
……ポ!? 
 
…ちょっと待って、違う!!これは…!え!?まじで…!?
ぶわーーっまじでーーっ!?これは…!これは…っ三叉の矛を持ってるけどポセイドンじゃないっ!ああ!これはっ、 
 
 
ハーデス様だ…!!ハーデス様だァアアーー!!
すっげぇえええーー!!見つけたたけうちさん神ーーッ!! 
ハーデス様ァアアーー!!ギリシャやローマでも見当たらないと思ったら、こんなドイツのこじゃれた城で三叉の矛なんか持ってたんですかぁあーーッ!! 
 
 
え!?ってか、
ハーデスってちょっと大きめのフナムシじゃなかったっけ!?うそだろ!?滅っ茶苦茶かっこいいじゃんっ!!うわー!うっわああーー!!ハーデス様こんなにかっこい…っばんざーーい!!ばんっざーーい!!ハーデス様ぶわんざぁーーい!! 
 
 
 
…まあ、正確に言うと、これは「かつてはハーデスで、今はポセイドンの像」だと思うんだ…。 
 
…どういう事? 
っていうと、ちょっと私の話を聞いて欲しいんですが、この仏頂面と足元のケルベロスから見て、この像はハーデス様に間違いない。でも、問題はこの三叉の矛…。三叉の矛って、やっぱり
どう考えてもポセイドンの象徴じゃないですか。でも、その矛の部分をよく見てみると、 
 
…どう思う?他の部分より新しくないですか?金だし。 
これは、像が「改変された」跡だと思うんです。この部分、もともとはハーデスの象徴の「王錫(おうしゃく)だったはずだ。それが、後に誰かにポセイドンの象徴の三叉の矛に作り変えられたんだと思う。つまりね、これは「ポセイドンに作り変えられたハーデス像」だと思うんだ! 
 
 
中世以降のヨーロッパでは、ギリシャ・ローマ風の古い像を持ってきて自分の城に飾る、ということが流行したんですよね。 
でも、飾る際には、自分の好みに合うように「像を改変する」ことが稀にあったんだよ! 
 
例えば、2006年に上野で「ルーブル美術館展」がありましたが、その時の目玉になったあの有名な
『アルルのヴィーナス(アフロディーテ)』という像。 
あれも元々はヴィーナスじゃなくて、アルテミスだったんです
(肩に矢筒の跡があるし、美の女神ヴィーナスにしては表情・動きが固すぎ。元々はアルテミスが矢を引き絞っていた像だと思われる)。 
なぜこういう改変が起こるのかというと、その当時、アルテミスよりもヴィーナスの方が人気があったからです。 
 
めっちゃケルベロスいますね。 
で、もちろんこの当時は、大変遺憾ですが、
ハーデス様よりポセイドンの方が100倍人気者だったわけだ。 
だから、この像をここに設置するときに、こういう会話があったんじゃないか?―― 
 
A「なあなあ、今度さあ、俺んちの噴水の前にでーっかい像を置きたいんだよね!!」 
 
B「噴水だったら、普通はポセイドンの像じゃないか?」 
 
A「うーん、それが今いいポセイドンの像が手持ちに無いんだよ
……ハーデスの像ならあるけど」 
 
「ええっ?ハーデス!?お前どうしてあんなフナムシの像を!?」 
 
「酔った勢いで買ってしまった。うーん、なんとかこれをポセイドンの像に変えられないかなー?」 
 
B「バカお前、そんな上手いこと行くはずが…。
まあ、確かに、この王錫を三叉の鉾に変えたらポセイドンっぽくはなるな。」 
 
「!!いい!それで行こう!」 
 
B「え!?でも足元にごまかし切れないであろうケルベロスがいるぞ!!」 
 
A「大丈夫!そこは
『たまたま気分でケルベロスを連れてるポセイドンです』の一点張りでいこう!! 
    
   よっしゃあ、王錫の部分を鉾に作り直せー!」 
 
 
…絶対こういう会話あったろ?…甘いよ。
王錫をちょっと矛に作り変えただけで「ポセイドン〜フューチャリング・ケルベロス」って無理だよそんなの!!やるならケルベロスをポセイドンの象徴の馬に変えるくらいの気概を見せてみろよ!! 
 
…だが、たとえ王錫とケルベロスがなくたって、この像はなおハーデスなのよ!! 
なぜなら、ハーデス様の一番のチャームポイントは王錫でもケルベロスでもないっ! 
 
この仏頂面なのよっ!! 
今まさにタンスのカドに小指をぶつけたかのようなこのツラ!そして不機嫌そうな態度!! 
これこそがハーデスだけのアイデンティティなのよッ!! 
 
ああ、近世の人にポセイドンに変えられたかもしれないけど、 
私 に と っ て は ハ ー デ ス 様 だ …!! 
 
私がギリシャとローマを血眼になりながら探しても見つからなかったハーデス様…!! 
こんなところにいらしたんですね! 
ポセイドンに変えられながらも、ずっとここで…!
 
 
 
ああ、踊って!私と踊ってよ、ハーデス様!! 
 
「いや俺、ハーデスじゃなくてポセイドンなんで」…ってポセイドンのフリしたって無駄だよ!ポセイドンがこんなしょぼくれた表情するかよ!! 
 
ハーデス様でしょ!? 
ギリシャ神話が誕生してこの3000年間、
「人気は、まあダンゴ虫よりは上」「空気に溶けて、そばにいてもまず気づかない」冥王人生ほとんどごまかしだったあのハーデス様でしょうっ!? 
歌うかんね!!私は、歌うかんね!! 
 
♪おーれはハーデス♪冥王だ〜! 
悪い子いたら食べちゃうぞ〜!!
 
 
…ホラッ!ハーデス様もぼーっとつっ立ってないで私と一緒に!! 
 
♪おーれの愛犬ケルベロス〜ぅ! 
噛み付いたらはなさない〜! 
 
おーれの奥さん世界一〜ぃ♪ 
異議があるやつ 漬けてやる〜♪ 
ホルマリンに〜漬けてやる〜♪ 
 
フナムシみたいなこの人生〜♪笑った奴らはみなごろし〜! 
み〜なご〜ろ〜し〜〜♪
 
 
 
――みんながポセイドンと歌い踊る中で、一人くらい、あなたと踊る人間がいてもいい!! 
そうでしょう!?…ハーデス!!
 
 
 
 
――と、まあバカはこのくらいにして、と。 
ちょっとポセイドン様を邪魔者っぽく書いてしまってすみません…。私はポセイドンも大好きです!兄弟なのに全然ハーデス様とは似てないよね、すっごく無謀なところとか!!あと、
トロイの城壁建設の時の、ポセイドン、アポロン、アイアコスの一年間の共同生活とか、もう想像するだけで面白いもん!―― 
 
ポセイドン「…それで、俺がその女をどうやって口説いたか知りたいか?」 
 
アポロン「ぜひお聞かせ願いたい!」 
 
ポセイドン「こうやって腰に手を回してだなぁ、耳元で
『俺の股間の三叉の矛は…お前のものだぜ』」 
 
アイアコス
「そんな話をしている場合ではないでしょうっ!お二方とも仕事をしてください!仕事を!!」 
 
ポセイドン「仕事仕事って!おまえは俺の兄貴のハーデスそっくりだ!
お前が死んだら、冥界の裁判官にするように兄貴に推しといてやるわ!!」 
 
アイアコスそんなどうしようもない職業に採用されたくありません!イヤですよ!死んでも神にこき使われるなんて!!」 
 
アポロン「予言の神たる私が断言する。
お前は死後、ハーデスの下で冥界の裁判官として永久に働かされるであろう。」 
 
アイアコス「嫌だー!!俺の冥界ライフはお花畑でのんびり暮らすんだァアアー!!」 
 
絶対アイアコス苦労してるだろ!あの二人が相手じゃ!! 
そんなわけで、本当にバカはここまでにして…、今日の日記は、写真を送ってくださったたけうちさんのおかげで書くことができました。たけうちさん、本当にどうもありがとうございました! 
写真を見たときは本当に興奮しました!!3日くらい興奮してよく眠れなかったくらいだ!!本当に、よく足元のケルベロスに気づかれましたね!すごすぎる!! 
しかも快く掲載許可を下さって本当にうれしいです!なんとお礼を言っていいか…!サイトやってて本当に良かったと思った。いただいた写真は私の生涯の宝物です!ほんとうにありがとうございます!
(ハーデス様のイラストは必ずや!めっちゃ気合入れて描きます!!笑) 
 
たけうちさんありがとう、ここまで読んでくれた人ありがとう、ハーデス様ありがとう…!! 
 
 
※ちなみに、この像は
ドイツのミュンヘンのニンフェンブルク城にあるとのことです。 
この像は、ギリシャ・ローマ時代に作られたものじゃなくて、多分ルネッサンス以降につくられたものだと思いますが…いつ、誰が作ったんでしょうね? 
私に西洋美術史の知識があればなあー!たけうちさんからのこのおいしいパスをもっと生かせた筈だ…!! 
 
※ここでは分かりやすいように、「ポセイドン」「ハーデス」とギリシャ風に書きましたが、実際はちがいます。ヨーロッパでは、神話の神々をギリシャ風じゃなくてローマ風の名前で呼びます。つまり、
「ポセイドン」→「ネプチューン」、「ハーデス」→「プルート」です。 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
●近況です! 
●ポニョ見てきました!以下、感想なので反転です。(ちょいと下ネタです) 
<
フジモトがハーデス様と被る被る!! 
あの報われなさとか、奥さんの尻に敷かれてるところとか、陰気で冴えないところとか…どう見てもハーデス様じゃね?! 
っつーかフジモトはどうやってあんないい奥さん捕まえたんだよ!!釣り合わなすぎだ!!もうポニョとか世界の危機とかより二人の馴れ初めの方が気になるよ!! 
それと、あのポニョとか、わんさかいる姉妹は、フジモトとグランマンマーレの子供なの?どうやって…子作りしたのよ?無理じゃね?なんかもうあらゆる意味でむりじゃね?? 
 
…そんな感じで、私はフジモトしか見てなかったので、大変ヨコシマな感想になってしまってすみません…。動きとかは相変わらずすごかった!!モールス信号で痴話ゲンカするシーンとか、さっすが宮崎アニメェェ!!って感じでとんでもなく楽しめました!でもフジモトが一番いいキャラしてた!楽しかったぁ〜!

●今週金曜はルパンですね!まじ楽しみです! 
 
 
拍手のお返事は昨日の日記に書きます!  
 



藤村シシン
古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。
高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。

◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。

お仕事のご依頼 euermo★gmail.com
(*をアットマークに変えて送って下さい)


書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。




★よく出てくる宿敵「黒川君」については
【黒川wiki】をご参照下さい。



各種リンク

twitter
(基本的にここにいます)


「藤村一味」まとめ
(古代ギリシャ、
呪術ナイトなどのトゥギャッターまとめ)


古代ギリシャナイト
歌って踊って喋って祭儀する、古代ギリシャ総合エンターテイメントです

twilog
(ツイッターのログ)

(ピクシブ)


私のサイト(ギリシャ神話の創作とか)

2008. 7. 28 アポロンのチン毛問題/ハーデ....
2008. 7. 27 拍手のお返事(7月6日〜26....
2008. 7. 21 ついに降臨!本物のハーデス様....
2008. 7. 05 七夕+「エロい神話」のおまけ....
2008. 7. 02 今夜決めよう!「一番エロいと....

2008年 7月
SunMonTueWedThu FriSat
- - 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
- -





| 携帯用 | | RSS | | 検索・カテゴリー | | Home |

++ Powered By 21style ++