藤村シシンぶろぐ

2008. 7. 28
アポロンのチン毛問題／ハーデス像情報／拍手のお返事(７月５日分)

↓しょっぱなすげえピクニック・フェイスで失礼します、アポロンです。

ということで、夏休みに入って時間もできたので、「ギリシャ旅行記」でもブン回していこう！ってな感じで、旅行記の続きを書いているのですが…。

すごい真面目な話、アポロンってチン毛ないじゃないですか。

「アポロンは永遠のアドレセント(青春期の人)だから陰毛はない」。
…っていうこのチン毛無し設定にギリシャ人のアポロンへの愛を感ぜずにはいられないんですけど、でもさあ、そんな設定つけなくたって、アポロンは見た目的にも性格的にも十分キャラ立ってるよ！そんな特殊設定はあんまりキャラが立っていないハーデス様にでもくれてやれよ！って感じなんですけど…。
でもよく考えたら、よ？
まだチン毛も生えそろってない年齢ってことはよ？
もしかしてアポロンって…見た目的には中学生以下なんだろうか。

…こんな中１いないだろ！！
中１男子なんて、「おち～んちん♪おち～んちん♪」とか歌ってるのが楽しくてしかたない年頃でしょ！？
社会の授業中に「ディオクレティアヌス帝」とか「アウレリアヌス帝」とか、もう「アヌス」なんて言葉が出てきただけで拍手巻き起こるレベルでしょ！？

アポロンなんか「アヌス」とか全然余裕そうだもんね！
むしろ「アヌスは名詞でアナルは形容詞なんだぞ」とか要らん知識言ってくるぞ絶対！！

中１はない！アポロン、絶対中１はない！！
とすると、17歳くらいで、陰毛は生えてないという設定の人なんでしょうか。ヘルメスはアポロンより年下だけど生えてるし。

…結局何が言いたいかというと、アポロンをどのくらいの年齢で描いたらいいのか分からないという話でした。アポロンの股間を描く日は当分来なそうなのでいいのですが…気になるなァ！！(↑のアポロンは若すぎる？よく分からない。)
「チン毛が無いのは永遠のアドレセントの象徴」かあ！ああ、チン毛の話なのになんでこんなにロマンチックなんだろう！
「チン毛がない。」…もうこれだけでアポロンの純情さが漂ってくるもんね！！あーアポロン、本当にアドレセント！超アドレセントだよ…！

…とまあ、バカはこれくらいにして、ここからが本題なんですけど、先日の日記で、ドイツのニンフェンブルク城の、ポセインドンっぽいハーデス像について書いたじゃないですか。↓これこれ！

ハーデスなのにポセイドンの三叉の矛持ってる…っていう謎の像！

で、日記を読んでくださっている方が、この謎のハーデス像についての詳細を調べて下さったんですけど…ってどうしてそんな重要な話をチン毛の下に書くの？って感じですみませんが！

しかも、調べてくださったのが、ドイツ語圏在住の方と、ニンフェンブルク城にお知り合いの方が勤めていらっしゃる方の２名で――すごい状況と人脈じゃんそんなの！そんなの私からしたら、「私、ハーデスの元カノだから」くらいの状況じゃん！すごすぎる！！

で、頂いた情報を載せさせて頂くと、あの像のタイトル等は、

■「セルベウス[ケルベロス]と共にプルート[ハーデス]と（後に誤解から、三叉の矛（海神ネプトゥーヌス[ポセイドン]の象徴）として付け加えられた）フォーク：両方とも、宮廷彫刻家J.B.Straub(1772年)の模型を元に、Dom.Auliczekにより1778年に製作」

■この城の庭にある神話像群は全部で12、宮殿から見て左サイドにヘルメス(1778作)、アフロディーテ(1778)、ディオニュソス(1782)、右サイドにアルテミス(1785)、アポロン(1785)、デメテル(1782)、中央通路にキュベレーとクロノス(1765)、ゼウスとヘラ(1791&92)、ペルセフォネーと問題のハデス(1778)。

…みんなすごすぎじゃね？
なんかわざわざ向こうの中央図書館でニュンフェンブルク城の建設記録とか見てくれたり、この城に勤めてらっしゃるお知り合いの方に聞いて下さったり…したみたいなんですけど……すみません、ちょっと感動してどうしていいか分からないんですけど…！

だって私だったら無理だよ！！
私が、「ギリシャのプルトニウムの…あ、プルトニウムっていうのは、ハーデス様の神殿の名称で、核燃料の方じゃないんですけど(っていうか核燃料の方のプルトニウムがハーデス様の名前からとってるんだよ！)…そのギリシャのプルトニウムに突っ立ってるハーデスの神像の名称と制作年代を明日までに調べて来い！」って言われたらそんなの無理だもん！！
プルトニウムに知り合いもいないしさ！

本当に、感動です…！そして、ただただ尊敬です…！
写真を下さったたけうちさんに加えて、調べてくださった方々、
本当にありがとうございました！！超うれしいです！！

しかし、この像のタイトル…「セルベウス[ケルベロス]と共にプルート[ハーデス]と（後に誤解から、三叉の矛（海神ネプトゥーヌス[ポセイドン]の象徴）として付け加えられた）フォーク」ってことは、ポセイドンに作り変えようとしたわけじゃなくて、間違ってポセイドンにしちゃったんだ…。そんなことあるんだなあ！

そして、このお城、驚くほどギリシャ神話まみれですね。
なんでも、王子の誕生日の記念にこの神話まみれの庭をプレゼントしたそうです。
なにそれ！いいなあー！！私も誕生日にこんな庭欲しいよ！！
ドイツの王侯貴族はイキだねえ！

あーもう本当に感動しました！！どうもありがとうございます！！なんか私、ギリシャ旅行記とか頑張ろうと思った。アポロンのチン毛がどうの言ってないでさ…！
あー今興奮しすぎてわけわかんないよ！！もうみんなアドレセント！！みんなみんなアドレセント！！

拍手どうもありがとうございました！励みになります！！
いつもお返事がとても遅くなってしまってすみません！しかも、ちょっとお返事のコメントが日記の字数制限に引っかかってしまって、二つに分けることになりました。前半のお返事(７月５日)はこの日記の続きにかいてあります。後半のお返事(７月６日～２６日)は、７月２７日の日記に書いてあります。ややこしくてすみません！！

そんなわけで、以下、拍手のお返事の前半です。(７月５日分)

→続きを読む

相変わらずお返事が遅くなってしまったり、けっこう長めにコメントを送って下さった方もいらしたので、「私、なんて送ったっけ？」という方もいるかと思います。なので、コメントを全文載せさせてもらっています。こういうのが嫌な方いたらすみません！

●7月5日15:30 今日は！気が付けば毎日来てしまっているtukiでございます。シシンさんの文章力はほんと物凄いパワーがあります！！…ギリシアの文献英語だとそんなにあるんですかー…（というか和訳少ない…）途方にくれる通り越してわくわくしてきました。よし！英語勉強します！！全部読めるとは思えないけどギリシア神話は一生かけても読んで生きたいです。人生80年じゃ足りないですよね！あと、アポロンとアテナ夫婦説ですが…これってアテナがコロニスと呼ばれていたってものですよね。この説見た時「え、何その怖いカップル」とびっくりしたんですがシシンさんの絵を見て「割といける。むしろいい！」と思い直しました。新境地！ありがとうございます！！（笑）でもこのお二方神話でわりと一緒にいるので私は結構お気に入りです。イ－リアスでアテナが休戦もちかけにアポロンの元へ降りてきてアポロンは急いでそれを出迎えるっていうシーンが何か好きなんです。次の二柱の会話が互いに実力は認めつつも距離は取っているという感じがまた…。アポロンはイーリアスだと結構かっこいい気がするんですが（神らしい）転身物語あたりになると「どうした…？」と言いたくなるほどの振られ好青年になってるというギャップが…（笑）。転身物語のアポロンとダフネの話を読んだ時正直ダフネを舐めるように見るアポロンの描写や口説き文句にかなり引いてしまった覚えがありまして…でも数多く絵画の題材として取り上げられるぐらいだし訳し方の違いって事で原文はすごくロマンチックなのかな？と気になっておりました。その後訳者別に読んでみたら当然ながら書き方が違うし、でも私が一番ヒットしたのはギリシャ旅行記でシシンさんがバスの中で言ったアポロンのセリフ！この語り口理想ー！！シシンさん素晴らしいです。さらに日記のハデス様の原文紹介で原文の美しさを確信できました。ありがとうシシンさん…！もう貴方が訳してください（本気）アポロンの奴隷堕ちの話は私も好きです！（この神のこういう波乱万丈な所が気になってしょうがありません）ゼウスに歯向かったってのがまた凄いし。あ、でもヘルメスがハデスを裏切ったというところ私詳しく知らないんですが是非教えていただけませんか！？よろしくお願いしますー！…興奮して好き勝手語ってしまい申し訳ありません。でもシシンさんのギリシア語り大好きです！これからも楽しみにしています！
…tukiさん、こんにちは！いつもコメントありがとうございます！文章に力があると言って頂けてとても嬉しいです！／英語の文献たくさんありますよ…！神話神話したものから、神話と歴史を絡めたものとか、哲学と絡めたものとか、色々な立場からの意見があってとても面白いです。わくわくしますよね！「一生かけても読んで行きたい」とのお言葉、超同意です！！お互い頑張りましょう！／アポロンとアテナ夫婦説…そうです、アテナがコロニスと呼ばれていたというやつです。私の絵で「むしろいい！」と思っていただけたならとても嬉しいです！イーリアスの二人はいいですよねー！なんか、いつもアポロンは女性相手だとすぐに口説きモードになるのに、アテナだとそういう感じにならないところとか、良くないですか？アテナも、男嫌いなのにアポロン相手だとそんな雰囲気出さないところとか！お互い異性とは全然意識してなかったのに、気づいたら君なしじゃいられなくなってた…アテナ、愛してる、結婚してくれ…！みたいな流れが目に浮かぶようだ(笑)。確かに、アポロンはイーリアスだとマジメなのに、変身物語だと「何がどうしちゃったの、この人！？」ですよね！／アポロンとダフネの話！うわー！！私もそこの描写超爆笑しました！！もうあのアポロンの舐めるような目線の描写は伝説の一節ですよ！アポロンに驚いたというより、書いてるオウィディウスに衝撃うけました！さすが「Master of Love」のあだ名を持つ男です！すごかった！！ギリシャ語やラテン語の訳は難しいですね。日本語とはニュアンスが全然ちがうし、原文の美しさはなかなか伝わりにくいです。私の訳は全然まだまだです！でも、私の訳を理想と言って頂けてありがとうございます！／アポロン奴隷堕ちの話はいいですよね。ヘルメスが奴隷堕ちの話に関わるのは、次のような話です。
普通、死んだ人間の魂は、タナトスが迎えにくるのですが、英雄(半神)が死んだときだけはヘルメスがお迎えにやってきます。アポロンがコロニスを殺したとき、お腹の中には息子のアスクレピオス(もちろん彼は半神)がいました。コロニスが火葬されてる最中、ヘルメスがその魂を引き取りにやって来るのですが、何を思ったかヘルメスはアスクレピオスの魂を奪うのではなく、火の中から救い出してしまいます。
彼のこの行動の解釈はいろいろにできると思いますが、絶対アポロンに泣きつかれて助けちゃったんだろうなあ…とか、死ぬはずの運命の者を助けたから、後でハーデス様にすげー怒られたかもな…とか、色々想像してしまいます。目に浮かびません！？恋人と息子を同時に失って嘆き悲しむアポロンを見て、もう考えるより先に火の中に飛び込んで、赤子を救い出してきちゃうヘルメスが…！！「ああー！ヘルメス、アポロンのこと大好きじゃんっ！！」と私はいつもこのシーンで思ってしまいます！神話語り、これからもばんばんしていきたいと思います！ありがとうございます！！

●16:28 Ｅさん…返信不要とのことですが、返信させて下さい！(すみません！)アフロディーテとアレスの情事の真っ最中にヘファイストスのわなにかかって、見物に来た神様の前でさらしものになった…ってシーンは確かにエロかったですよね！その後の展開もすごく衝撃的で私も赤面でした。…しかも、神様がみんないる中で、アポロンとヘルメスがすごいモテ男の目線からヘファイストスを嘲笑するんですよね…。私、ヘファイストスに感情移入して読んでいたので、アポロンとヘルメスの陰口にちょっとショックを受けた記憶が…(笑)。「何も悪いことして無いじゃん！言い返せよ！ヘファイストス！！…え！？泣き寝入り！？ウソだろ！？ボコンボコンにしちゃえばいいんだよ！そんな奴ら！！」…と、すごく腹が立った記憶がいま蘇りました。ギリシア神話、ほんと刺激強すぎですよね。Ｒ-18が妥当かと(笑)。(ところで、最近、私のパソコンが調子悪くて、Ｅさんのサイトのブログが見れないんです…早く直して、Ｅさんの日記をまとめ読みすることが目下の目標です！コメントありがとうございました！)

●22:45 いつも楽しく拝見させていただきます。エロスの話はすごく参考になりました（なんのだよ）。個人的に、エロスはやはり暗喩にこそ隠されていると思います。それこそハーデス様が柘榴を食べさせるという件がフェ●チオの暗喩であろうという考察が良い例ですよね。実際にフェラ●オをさせたなんて書いてしまっていたら、なんとも味気の無い場面になってしまいます。琴線に触れるものが何もありません。やはり柘榴を食べさせたとだけ書いて、読んだ人にあれこれ想像させるのが良い！本当に柘榴を食べさせたのか、それともヘルメスの目を盗んでペルセポネーにアレをくわえさせたのか…。ﾊｧﾊｧ、ハーデス様…。気持ち悪い流れになってしまってスイマセン。そうそう、アポロン様が奴隷になった話、初めて知りました。ぜひ詳しく語っていただきたいです。ああ、アポロン様が奴隷だなんて…、美味しすぎる。話は変わりますが、藤村さんは神話について非常に詳しいでしょうから、藤村シシン版ギリシャ神話を執筆なさったらいかがでしょうか。藤村さんの神話解釈の観点は一世を風靡すること間違い無しだと思うのですが。特にエロス的な観点が（笑）出版のあかつきには100冊は購入します！それでは、これからも楽しみにしています。サガ様と末永く仲良くして下さいね！ …やっぱりエロスは暗喩ですよね！想像させますよね～ハーデスとペルセポネーの神話は…！アポロン奴隷落ちの話ですが…少なくとも、現存する神話の中でアポロンは２回も奴隷になってます。全く懲りない男です。１回目は、ポセイドンらと共謀して、ゼウス打倒を計画して失敗し、ゼウスに罰として奴隷にさせられた時です。すごいのはポセイドンも一緒に奴隷になっちゃってる、というところです。２回目は、ゼウスに息子のアスクレピオスを殺されて、怒ってゼウスに報復をして、その罰として…という流れです。どちらにしても、アポロンは奴隷なのにすごく偉そうでした。でも、こんな誉れ高く美しい彼が人間の命令に従って動いてる…なんていう状況は、想像するだけでもう…！あーぜったい夜の奴隷小屋でさ…他の屈強な男どもにさ…！神の力も奪われてるから抵抗もできなくてさ…！！ああ…っアポロン！逃げるんだー！――なんてさ…！(笑)／私版ギリシャ神話ですか！いやーまだ勉強中の身ですし、私はまだギリシャ神話について何も分かっていないんです。だからそんな大それたことはできませんよ！でも、勉強を重ねた暁にはいつか書いてみたいですね…！！面白そうな提案をどうもありがとうございます！もちろん、サガ様と末永く仲良くいたします！！

すみません、続きのお返事は７月２７日の日記にかいてあります！
　

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藤村シシン
古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。
高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院（西洋史学専攻）修了。

◆著書『古代ギリシャのリアル』（実業之日本社）。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。など。

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書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。

★よく出てくる宿敵「黒川君」については
→【黒川wiki】をご参照下さい。

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