|
2009. 6. 1 【前篇】5分でわかるアポロンの恋愛遍歴 〜アポロンは体温が高い・アポロンが失恋する理由〜
|
|
黒川「あのねえ、藤村さん。ギリシャ神話の神様は体温が高い、って記述確かどこかにあったじゃないですか。だからこれからの時期、ベッドでアポロンなんかが隣にいたらきっと暑さで寝苦しくてしょうがないですよ。」 ――先日、黒川さんとお会いした時に、何気なく彼が口に出したこの一言。 その時の私は「えーでも高いって言ったって、39度5分くらいでしょ?そのくらいなら私、我慢できます。」 ――くらいで流してましたが、心の中じゃもうありえないくらい興奮していた…!! 「39度5分までなら我慢できるとかいうレベルじゃねえ、アポロンの腹の上でヤカンが沸騰する温度でも私、全然いける!!その我慢大会、乗った!!」 ベッドで隣にアポロンって…!ヤバい!!この想像はヤバイ!! 黒川ヤベェ、私の妄想ポイントまで心得てやがる、 パネェ、タイピングする指が止まらねぇ!! ――というわけで!アポロン関係の花も一通りコンプリートできたし、 今日は興奮がたぎるままに、アポロンの恋愛話としゃれこみましょう!! 〜5分でわかるアポロンの恋愛遍歴(花編)〜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ――かつて、月桂樹がまだ無かった頃。 この頃はアポロンも、長い髪の美しい頭(こうべ)を飾るのに、木の葉の種類を選びはしなかった。 ダフネー(月桂樹) ――若きアポロンは、ダフネーという乙女に初めての恋をした。 最初は物影からストーキングをしているだけで満足していたが、 ついに我慢が出来なくなり、姿を現すと、 アポロン「ダフネー、君の瞳も、唇も、手も、ただ見ているだけでは物足りぬ!!服で隠されているところも全部この私に見せてくれ!」 ダフネー「イヤァアアーー!!変態ーー!!来ないで!!あっちへ行って〜〜!!」 アポロン「!!ダフネー!お願いだ、そんなに急いで逃げないでくれ!!ケガをするぞ!もっとゆっくり逃げてくれ、そうしたら私ももっとゆっくり追いかけるから!!転んでその美しい足を傷つけでもしたら大変だ!私が原因でお前に苦しみを与えたくないのだーー!!」 ダフネー「だったら追いかけて来ないで頂戴ーー!!」 アポロン「お前が誰に恋されているのかを尋ねてみるがいい!!おまえが誰から逃げようとしているのか!お前はそれが分かっていないのだ!私はそこらの馬の骨ではない、いいか、聞いて驚け!この私は…」 ダフネー「誰だって同じことよ!男なんか大っ嫌い!!」 アポロン「私はゼウスの息子なんだぞぉおおーーー!!!私はデルフォイの主にして、現在・過去・未来、すべての出来事を知る予言の神〜!弦と歌とを司るのも私の仕事!!そして(略)、その私からなぜお前は逃げるのだーー!!」 ダフネー「あなたが男だからよーッ!!その逞しい肩も顔立ちも金の髪も全部気持ちが悪いわ!!追いかけてこないでって言ってるでしょ!?」 ――なおも追いかけるアポロン、逃げるダフネー。 ダフネー「お父様!!助けて!!私、この男に触られるくらいなら違う姿になった方がマシです!!」 ――彼女の父はその願いを聞き届けて、ダフネーを月桂樹の姿に変えた。 だが、アポロンの恋心はそれでも変わらなかった。 月桂樹の木肌を抱きしめて、枝に口づけを落とす。 が、木はその口づけをもしりぞけた。 アポロン「…どうあっても私の妻にはならないというのなら、せめて私の木になってくれ。いとしいダフネー(月桂樹)よ、私の髪も、竪琴も、矢筒も、つねにお前で飾ろう。髪を切ったことのないこの私の頭を、お前の常緑の葉でつねに若々しく保ってくれ。」 ――この時から、アポローンの君の冠は月桂樹と定まったのだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 黒川「っていうか、アポロンってデンドロフィリア(植物性愛者)じゃないですか?」 ――という、この部分に対する黒川さんのツッコミが本当に印象に残っている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ イオ(スミレ) かつて、アポロンは、美しい紫色の瞳を持った乙女・イオに恋をした。 アポロン「そなたの美しい瞳に、この私の姿を映してほしい…」 イオ「こ、困ります!私には婚約者がいます!!」 アポロン「婚約者?婚約者がどうしたというんだ?この私がお前を好きだと言っているのだぞ!?この私が!!」 イオ「触らないでっ!私は婚約者を愛しているんです!あなたのものにはなれません!!」 アポロン「お前…この私の愛を拒むなど、そんなことが許されるとでも思っているのか!?あっ、待て!逃げるなー!!」 イオ「来ないでーーっ!!」 アポロン「許さぬぞ、イオーっ!!この私から逃げるなど!!捕まえたらただでは済まさぬぞ!私から逃げたことを後悔させてやるーーッ!!」 イオ「誰か!!助けてーーっ!!アルテミス様!貞操の神、アルテミス様!!お助け下さい!どうか私を清い体のまま死なせて下さいーーっ!!」 ――アルテミスは彼女の願いを聞き届け、イオをすみれの花に変えた。 美しい彼女の瞳の色だけを残して。 だから今でもスミレは、アポロンの目に触れないように、 日陰にひっそりと咲くのだ――。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ――アルテミス、ナ〜イスディフェンス!! ・・・・・・・・・・・・・・・・・ アカンサス(画像ないけど…) ――ある時、アポロンはアカンサスという乙女に恋をした。 アポロン「アカンサス、お前のその美しい肌に触れたい。」 アカンサス「イヤーー!!触らないでーー!私に近寄らないでっ!!」 アポロン「!!待てっ、お前も私から逃げるつもりか!?ふんっ、好きなだけ逃げ回ればいい、私とて同じ失敗は三度も繰り返さぬわ!!」 ――アポロンは逃げるアカンサスの先回りをし、腕の中に抱きとめる。 アポロン「捕まえたぞ!さあ、私の愛を受け入れてもらおうか!」 アカンサス「!!やめてーーっ!!私っあなたに抱かれるくらいなら死んだ方がマシよ!!」 そう言うと、アカンサスは、爪でアポロンの頬や胸を引っ掻いた。 アポロン「!!おまえ…っこの私の肌に傷を付けるなど…!自分が何をしたか分かっているのか!?そんなに私に触られるのが嫌ならば、誰にも触られない体になってしまえばいいのだ!!」 ――怒ったアポロンは、彼女をアカンサスの葉に変えた。 だからアカンサスは、今でも刺々しい葉でもって、 触れるものを拒み続けている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ――アポロン、 お前は今すぐコンビニでメンズノンノを買ってこい、そして女の子の口説き方特集を熟読しろ!! ってレベルでどうしようもないだろこれ…! だが、このアポロンも相手が女じゃなくて男だと 意外とモテる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ キュパリッソス(糸杉) ――ある時、アポロンはキオス島の美少年キュパリッソスに恋をした。 キュパリッソスには、とても大切にしている牡鹿があったが、 ある時、彼は誤って自分の手でこの最愛の友を射殺してしまった。 少年は何日も何日も亡骸を抱いて嘆き続けた。 アポロン「――キュパリッソスよ、いい加減にするがいい。自分の体を大切にしろ。このままここで嘆き続けたらお前まで死んでしまうぞ。さあ、私とともに帰るのだ!」 キュパリッソス「…嫌です。僕はこのままこの牡鹿とともにここにいます」 アポロン「キュパリッソス…!わがままもいい加減にしろ!さあ、立て!帰るぞ!!」 キュパリッソス「嫌です!!あなたとは行けません!!もう放っておいて下さい!」 アポロン「この私がこれほどまでにお前に慰めの言葉をかけている!いったい何が不足だ!?私にどうして欲しい!?何が望みなのだ!?」 キュパリッソス「…僕は、この牡鹿と一緒にいたいんです…!」 アポロン「だが、一度ハーデスの元に下った魂は、呼び戻すことはできぬ!たとえこの私でもな!それに嫌だぞ!!シカの魂を返してくれなんてハーデスに土下座するのは!!」 キュパリッソス「…それではお願いです、どうかこのまま永遠に嘆いていられるように!僕が永遠に悲しみに暮れていられるようにして下さい!!」 アポロン「…愚かだな。人間とは本当に愚かな生き物だ。だが、他ならぬお前の望みだ。望み通りにしてやろう。」 ――少年の額にかかっていた髪が、硬い梢となり、体は星空を仰ぐ高い糸杉へと変わる。 アポロンはため息をつくと、悲しげにこう言った。 アポロン「これから先、お前は墓のそばに立ち、永遠に死者を悼み続けよ。…お前への哀悼は私がしよう。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ キュパリッソスにとっては、鹿>アポロンだったんだな…。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ヒュアキントス(ヒヤシンス) ――アポロンはスパルタの美少年ヒュアキントスに恋をした。 アポロンは何をするにもこの少年と一緒で、神託所も、指揮を執らねばならぬ音楽も、すべてを投げ出してこの少年を愛したのだった。 ある日、二人が円盤投げに興じている際に、 その仲の好さを妬んだ北風の神ボレアスが、 アポロンの投げた円盤の軌道をそらした。 円盤はヒュアキントスの顔を直撃し、少年は硬い地面にくずおれた。 アポロン「ヒュアキントス!ヒュアキントス…!ああ、なんということだ!いかないでくれ、私を置いて逝かないでくれ…!!」 アポロンは遠い日に愛したキュパリッソスの事を思い起こした。 死んだ牡鹿を抱えて自分も死ぬ、と言った少年。 あの時、人間とはなんと愚かな生き物なのだろう、と思った。 だが今、自分もまったく同じ考えを抱いている。 アポロン「お前の身代りに、この命を捨てることができたなら!お前と一緒に死ぬことができたら…!」 しかし、同時に自分とキュパリッソスの決定的な違いにも気づかされるのだった。 アポロン「私は人間がうらやましい。人間は愛するもののために死ぬことができるのか、愛する者のために泣くことができるのか。神である私にはどちらも許されてはいない。」 ――アポロンは、今や亡骸となったヒュアキントスの体を、真っ赤なヒヤシンスの花に変えた。 そしてあふれる嘆きを花びらに唇で刻みこんだ。 だから、ヒヤシンスの花弁には、今でもアポロンが刻んだ 「ΑΙΑΙ(ああ、悲しい)」という言葉が読み取れるのだ。 (※古代の「ヒヤシンス」は今でいうパンジーのこと。) クリムノン(キンセンカ) ――シチリア島に住む少年クリムノンは、アポロンに恋をしていた。来る日も来る日もアポロンのことを見つめ続け、アポロンが姿を現さない日は、悲しみで食事ものどを通らない。 その少年のことを当のアポロンも知ることとなり、やがて二人の間には愛が芽生えたのだった。 が、二人の仲の好さを妬んだ北風の神ボレアスが、 アポロンを雲の檻に8日の間閉じ込めた。 9日目、雲からのがれたアポロンが少年のもとに駆けつけると、 彼はアポロンに会えない悲しみで死んでいたのだった。 アポロンは少年をキンセンカの花に変えた。 だから、この花はいまでもずっとアポロン(太陽)を見つめ続けているのだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ――なんかさ…アポロンの恋がハッピーエンドにならない理由の一つにさ…ひとつ前のヒュアキントスの時にもこの一節あったけど… 「二人の仲の好さを妬んだ北風の神ボレアスが、」 あれ!?なんかこの部分にヒントあるぞ!!って感じだろ!? ここにすげえヒント転がってるぞ!! お前が幸せになれねえの、ボレアスにとんでもなく嫌われてるからじゃねえの!?アポロン!? 後編につづく!
|
|
|
|
|
|
藤村シシン古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。 高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。
◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。
お仕事のご依頼: euermo★gmail.com (*をアットマークに変えて送って下さい)
書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。 ★よく出てくる宿敵「黒川君」については →【黒川wiki】をご参照下さい。
各種リンク
twitter (基本的にここにいます)
「藤村一味」まとめ (古代ギリシャ、 呪術ナイトなどのトゥギャッターまとめ)
古代ギリシャナイト 歌って踊って喋って祭儀する、古代ギリシャ総合エンターテイメントです
twilog (ツイッターのログ)
(ピクシブ)
私のサイト(ギリシャ神話の創作とか)
|
|
←
2009年 6月 →
|
---|
Sun | Mon | Tue | Wed | Thu | Fri | Sat |
- | 1
| 2
| 3
| 4
| 5
| 6
|
7
| 8
| 9
| 10
| 11
| 12
| 13
|
14
| 15
| 16
| 17
| 18
| 19
| 20
|
21
| 22
| 23
| 24
| 25
| 26
| 27
|
28
| 29
| 30
| - | - | - | - |
|
|
|