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2010. 10. 21 【後半】9.23 伝令デー記念:ギリシャ神話妄想語り イリスによるヘルメスしごき〜アポロン集団リンチ事件
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※前日の日記の続きです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ →続き イリス「…何を言うのです、ヘルメス。遠矢の若君といえど、デルフォイの神託の神として認められるまではそれはそれはご苦労なさったのですよ。そうですわよね、遠矢の若君?」 アポロン「ああ。今こそ語ってやろうか、私が女3人から受けたおぞましい集団リンチ事件を? …『神託の神』は私の前に、大地母神ガイア、夜の女神ニュクス、掟の女神テミスと三人の女神がいたからな……。イリス一人のお前はまだいい方だ。私なんか3対1だぞ、3対1!! 柱にがんじがらめに縛りつけられて『アポロン坊や、お前に本当に未来を視る力があると言うのなら、今から繰り出すパンチ避けてみろ』ボコーーッ!!だったんだぞ!? ……今思い出しても震えが走るわ… 父上が助けて下さらなかったら鼻骨折られるくらいじゃ済まなかった!!」 (※半分くらい実話。) ヘルメス「なるほど…やはり高収入な仕事というのは、資格取るのが難しいのですね…。うーん…」 イリス「そうです。このご時世、仕事があるだけでも幸せと思って、大人しく伝令神におなりなさい。いいですね?」 ヘルメス「そうしまs………って、危なかった…!!今、一瞬あなたの説得でぐらつきかけましたよ…!!まさかアポロンをけし掛けてくるとは…さすが天界一のイリスの交渉術…!!立ってる者はアポロンでも使え、と!そういうわけですか!!」 イリス「さすがは私が見込んだ者。なかなか落ちませんね。…では手を変えて、伝令という仕事の素晴らしさをお教えしましょう。確かに低収入ではありますが、その分やりがいのある仕事で…」 ヘルメス「どう聞いてもブラックな匂いしかして来ないんですが…」 イリス「…忙しいのは確かです。しかし、その分人とのつながりを実感できます。私はこの仕事が大好きで…」 ヘルメス「僕は嫌です!!僕はそんな誰でもできる使いっ走りにはなりたくないし!!そんな一銭にもならない汚れ仕事はしたくない!!僕は…」 イリス「黙らっしゃい!!それ以上伝令の仕事を侮辱するのは許しませんよ!!」 ヘルメス「!!」 イリス「貴方は伝令をただの使いっ走りの伝言係か何かだと思っているんじゃないでしょうね!?」 ヘルメス「え…」 イリス「伝令の仕事は、一国に例えれば外務大臣。我々の交渉が失敗すれば戦が起り大勢の犠牲が出る。言葉一つ誤まれば、敵陣の真っただ中で一人で死ななければならない。 私は報酬のために駈けた事など一度もない。平和のために走るのです。 ――伝令とはそういう誇り高い仕事です。足速く、機知ある者にしかできない仕事。」 ヘルメス「……でも、なぜ僕が必要なんですか…?天界の伝令は貴女一人で十分でしょう?」 イリス「私のような古い神々の時代は終わった。これからはあなた方若い神の力が必要です。」 ヘルメス「……でも…でも、僕なんかじゃとても貴女の代わりはできません…!!『虹の女神は海とも交渉し、恵みの雨を連れてくる』。僕にそんな芸当ができるとお思いですか…!?」 イリス「その答えなら、若き神託の神が一番よくご存じのはず、」 アポロン「…『ヘルメスは偉大な伝令神になる。 死と交渉し冥界から魂をも連れ帰る、 偉大な伝令に!』。」 ヘルメス「…!!」 イリス「分かったら、さあ、戻りましょう。貴方にはこれから覚えて頂かなければならない事がたくさんあります。」 ヘルメス「……」 イリス「…怒ってしまってごめんなさいね。まだ生まれたばかりの子にきつい事を言ってしまったわ。」 ヘルメス「…あの…、その子供扱いみたいなの、やめてもらえます?僕、もう大人です。」 イリス「あらあら。じゃあ私を越える日が来たら、その時は伝令同士、ライバルとして…いえ、良き友としてやっていきましょうね。」 ヘルメス「ライバル?良き友?…冗談はやめて頂きたい。男と女の間に恋愛感情以外の物があるはずないでしょう。僕があなたを越えた暁には、ベッドを共にして頂くのでそのつもりで。」 イリス「…まあ…最近の子供はずいぶんおマセなのね」 アポロン「ああ…私がお前くらいの頃は、鼻たらして棒ヒュンヒュン振り回してたぞ。好きな子にラブレターも贈れないシャイネス・ボーイだったわ…末恐ろしい…」 ヘルメス「…で、僕が立派な伝令神になったらベッドを共にする、と。そういう約束でいいんですね、イリス?」 イリス「いいでしょう。だけどこれだけは覚えておいて下さい。――私、自分より足の遅い男は嫌いです。…さあ、オリンポスまで走りますよ!付いていらっしゃい、ヘルメス!」 ヘルメス「はい先輩ッ!!」 イリス「声出してきますよーっ!!『♪ぼーくらは偉大な伝令神ー!』はいっ!!」 ヘルメス「『♪ぼっくらは偉っ大なでんれいしーん!!』」 イリス「声小さーいっ!!」 ヘルメス「野球部の合宿の一年生しごきですかこれは!!?…『…ぼっっくらはいっだいな伝令しーーんッッ!!』」 アポロン(いいなあ…青春できて……。私の時は鼻からスパゲッティ食わされたりしたのに…。) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ―――なんていう会話があったかどうかは分かりませんが、 私としては、ヘルメスがイリスにしごかれてるといいなあと思います! 『ヘルメス、ふんどしを地面に付けないように走りなさい!!』的な忍者の修行でおなじみのヤツ!!(笑)あれやらされてたら可愛いんじゃないでしょうか!! (↑の会話文を書くにあたって、ヘルメス好きのお二人さんこと、星彦さん+黒川さんにご協力頂きました。ありがとうございます。) 途中で話に出ている、アポロンが集団リンチ云々の話ですが、 太古の昔、デルフォイはガイアとテミス二人の女神の神託所でした。 そこにアポロンが新たな神託の神としてやってきた時、 抵抗したガイア・テミス組 対 アポロンの神託対決が勃発。 結果、アポロン不利で、ゼウスが助けに入り、 ゼウス『私の息子の無礼はなんとか勘弁してもらえないだろうか!お前さん方二人は、私と一緒にドドナの神託所で祭らせてもらうから!!デルフォイはアポロンに譲ってやってくれ!!この通り!!』 ――で、丸く収まった、という神話です。 この神話もさー!こんど死ぬほど脚色して書かせてもらいたいわ…!!だってエロイだろ…どう考えても!!アポロンが女にいいようにされてんだぞ!! (ちなみに、↑の会話文ではそこに夜の女神ニュクスも加えていますが、デルフォイではかつてニュクスの神託も行われていたので、アポロンリンチに加わってた可能性はあるかも…エロイ…と思って入れてしまいました。すみません。) ――でもって、本題の「9月23日は伝令デー」の話。 紀元前490年9月、マラトンの戦いの折。 ペルシア軍を相手にアテナイは大変な苦境に立たされており、 救援を要請すためスパルタに伝令を飛ばすことに。 で、その伝令の彼が…アテナイからスパルタまでの山あり谷ありの260kmを一昼夜で走り切った、という… 260kmを一晩…!!東京駅-名古屋間を一晩!!!ちょっとした新幹線かお前は!!って話だ! 伝令スゲー!本当に過酷な仕事です! ――でもって、その故事を記念して、ギリシャでは毎年9月下旬、全く同じコースを一昼夜で走り切る、世界一過酷なマラソン大会、「スパルタスロン」が開かれております! ――ちなみに、一晩でスパルタまで走り切った後はどうなったかというと、 アテナイの伝令「偉大なるスパルタのお方がた、ギリシャで最も古きポリスであるアテナイが今、大変な苦境にあります。これはアテナイだけの問題ではない、ギリシャ全体の危機です。力を貸して頂きたい!!」 スパルタ人「アテナイの伝令よ、月はまだ満ちてはいない。 我々は、この時期の上弦の月から満月までの9日間は、絶対に軍を動かすことはできない。――これはアポロンとの古き契約なのだ。…だが、月が満ちた暁には、必ず駈けつける!」 ――世界で一番待ち遠しい満月だっただろう!!アテナイ人にとっては…!! そしてまたもギリシャ人の前に立ちはだかるアポロンの影…!! ほんと罪深いわ…あの男は…! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ――そんなわけで、しばらくサイトを空けてしまってすみません! 日記が書きたくて書きたくて…って話だ!! この間に色々あったのですが…、「SECRET BASE」の星彦さんと、「紙鉛筆」の川上くくさんとの素敵な会合にお邪魔させて頂きました!! くくさんからすげえ美麗なイラストもらっちゃったぜーー!!と今度ゆっくり自慢させて頂きたい…!! 本当にお二人ともありがとうございます!! そして、色々とお返事が滞ってて申し訳ありません!! 拍手どうもありがとうございました。 お返事は8月27日分まであります。 黒川さんとの座談会の時に、黒川さんが言った「僕、カラス避けにカラスの死骸を畑に吊るしてます。」発言に色々な地域の方から「私も吊るしてる!!」、「うちはプラスチックのカラスだよ!!」等など、様々なご意見を頂けてとっても面白かったです!! やっぱカラス避けにカラス吊るすのって有効なのかぁー!! どうもありがとうございました。 そして気のせいかもしれませんが、かなり前から、毎日10回拍手を必ず押してくれる方がいるみたいなのですが、大変うれしいです。 どなたが存じませんが、紫のパチの人、どうもありがとうございます!! 拍手下さった方、コメント下さった方、どうもありがとうございました。 色々とあわただしい時期だったので、とても励みになりました!
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藤村シシン古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。 高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。
◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。
お仕事のご依頼: euermo★gmail.com (*をアットマークに変えて送って下さい)
書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。 ★よく出てくる宿敵「黒川君」については →【黒川wiki】をご参照下さい。
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