藤村シシンぶろぐ


 

2010. 1. 3
      洋モノじゃない方の太陽神 + 新年早々黒川のトラップにはまって
「変態村」、「アポロンの地獄」

…1月1日0時0分。 
私がコタツでのんびりしている所に、 
突然
日本神話をこよなく愛する私の父がやってきて何を言うかと思えば、 
 
「おい、新年くらいあの洋モノの全裸の太陽神の話は無しにしろ。」 
 
エ?その洋モノのチンコ丸出しの変態太陽神ってのはもしかしてアポロン様の事?ケンカ売ってんの? 
と返す間もなく、 
 
「正月くらい我々の太陽神で始めるぞ!!」 
 
『我々の太陽神』!!そう言って父が出してきたのは、 
 
 
 
大吟醸「天の戸」!!?? 
まさか…アマテラスオオミカミが御隠れあそばしたというあの天の岩戸か――!!? 
 
「ちょっと待って、困る!!私はアポロンの方で年を始めたいんだけど!」 
 
「ならん!!そんな
洋モノの太陽神は今日は無しで、メイド・イン・ジャパンな太陽神で年を始めさせて頂く!!」 
 
「くっそぉおおおお――油断した――ッ!!私もアポロンにかけて日本酒の『月桂冠』を買っておくんだったーー!!」 
 
「ワーハハハハ日本の太陽神をなめるなよぉー!!よーし今日は天の岩戸の前でドンチャン騒ぎしてアマテラスを引きずり出すんだーッ手を貸せーーーーッ!」 
 
――ということで、我が父ながら油断のならない伏兵によって寝首をかかれ、 
年始はアマテラスで始まりました。 
 
遅くなりましたが、
あけましておめでとうございます! 
今年もどうぞよろしくお願いいたします!!
 
 
 
――そんなこんなで、元日から日本の太陽神を肴に一升瓶を干し、 
いい気分でそのまま初詣に行ってきました。 
…そう、ここまでは良かった。 
問題はその後ついでに行ったツタヤで、 
 
「あ、そうだ。
黒川さんがオススメしてくれた映画、ついでに借りていこう!」 
 
……これが最悪のミスになろうとは…。 
 
昨年からこの日記ではおなじみの天敵・黒川が私に勧めてくれたビデオ「変態村」、「アポロンの地獄」が… 
まさかあいつが仕掛けた最強のトラップだったとは… 
この時の私には知る由も無かったのだ――!!
 
 
 
〜新年早々黒川のトラップにはまって 
「変態村」、「アポロンの地獄」を鑑賞〜
 
 
※以下、「変態村」と「アポロンの地獄」のネタバレがあります。 
 
私「よし、じゃあまずはこの
『変態村』から見ようかな。」 
 
……ここでまず断っておきたい。 
私が好きな映画は「天使にラブソングを」もしくは「サウンド・オブ・ミュージック」! 
『ノリのいい姉ちゃんが歌で事件を解決、そして最後はみんなで大合唱のハッピーエンド』 
ってカンジの映画が私は好きで、 
 
私「そーゆーカンジの映画で何かオススメのないですか?黒川さん」 
 
…これに対する返答が 
 
黒川
『じゃあ「変態村」です!歌でみんなを救う純愛ラブストーリーですよ!!』 
 
…だったということをまず断っておきたい!! 
 
 
私「お、始まった始まった」 
 
お酒が入ったいい気分でねっ転がりつつ、 
DVDを入れ、本編が始まって数分。 
 
しょっぱなの主人公の男が女装させられて男に犯されるシーンで私の酔いは完全に醒めた。 
 
 
(…何だ…これ……) 
 
 
…主人公の男が迷い込んだ森の中の男しかいない村。 
そこで男たちは豚を獣姦していた。
 
迷い込んだ主人公は監禁され、女として村人たちに強姦されることに――― 
 
(…これのどこが「純愛ラブストーリー」なの…それともここから『サウンド・オブ・ミュージック』みたいなハートフルストーリーになるの…?) 
 
――だが、待てど暮らせどドレミの歌は流れないし、 
マリア先生もやってこない。
 
 
私(
「歌でみんなを救う純愛ラブストーリー」…確かにそう言ってたよな、黒川さん…?) 
 
まあ確かに主人公の男はシンガーだけど!! 
でも、みんなで楽しそうに大合唱するシーンはいつ来るの!?
 
…と思っていたら、 
 
――村人の男に強姦されつつ、 
 
村人『歌え』 
 
主人公の男『…うう…』 
 
村人『歌えーッ!!』 
 
主人公『…ア、アイ・ラブ・ユー…リメンバー…♪』 
 
みんな『『アイ・ラブ・ユー・リメンバー〜♪』』 
 
 
――なんか私が予想していた「みんなで楽しく大合唱」のイメージとはちょっと違うんだけど!! 
確かにその後、村人全員で楽しそうに踊るシーンもある!! 
だけど、それもピアノの黒鍵しか使ってないような半音だらけの鬱ソングに合わせて体を左右に揺らすという変な踊り!! 
 
…その後、
主人公が椅子に緊縛されて村人全員に犯されるというシーンで、 
私は堪え切れなくなって黒川さんに電話をかけた。 
 
私「…黒川さん、この前すすめてくれた『変態村』っていう映画なんですけど」 
 
ここで私としては、『え?本当に見たんですかーバカですねー』という返しを期待したが、 
 
黒川『!!今見てるんですか!?どうですか!?最高の芸術でしょそれ!?狂気の純愛っていうか!』 
 
何だこの食い付き… 
 
黒川『途中の曲とか最高ですよね!!もう、バッハかシューベルトか変態村か、ってレベルですよね!!』 
 
(…まさかこの男……マジで!?これをマジで薦めてたのか!? 
 
……私は
映画より黒川自身が怖くなって一回電話を切った。 
 
 
私(…え?ちょっと待って…この映画って「芸術」って感じなの?私の感覚がおかしいのか…?) 
 
そう、この映画についての評価は、自分と黒川、まだ二人分しかないわけだから、 
ここで相手の感覚がおかしい、と決めつけるのはよくない。 
そこでは私は客観的評価を得るべく、ある女の元に電話をかけた。 
 
 
私「…もしもし?
四郎?久しぶり」 
 
四郎『あれ、藤村?久し振りじゃん!!』 
 
――
「ギリシャ旅行記」に登場する、2006年に一緒にギリシャに行った戦友・四郎。 
彼女は大の映画好きで、ヒマさえあれば映画館に行って映画を批評するような人なので、 
 
私「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど、『変態村』っていう映画知ってる?」 
 
四郎『……お前…どこでその映画の名を…?』 
 
私「いや、ちょっとある人に勧められて観たんだけど…四郎は見たことあるかな、と思って…」 
 
四郎
『観たことあるも何も!「変態村」は私の人生で5本の指に入る最ッ高の映画だ!!!』 
 
えええぇえええええ!!!!? 
 
四郎『藤村、「変態村」観たの!?どうだった?最高だったでしょ!?あの、狂気だけど純愛、っていうか!!』 
 
黒川さんと同じこと言ってる…!!
 
 
四郎『あの不協和音のピアノに合わせて村人が躍るシーン見た?あの音楽最高だよねー!!もう、映画芸術の最高傑作だよね!「変態村」は!!』 
 
 
…ちょっと待って…これ…私が野党か? 
黒川のみならず、私の周りで誰よりも映画に精通している四郎までもが『変態村』を
「最高の芸術」と…!! 
ええ!?私の感覚がおかしいのか!? 
 
私「でも四郎…これ…
男が狂った男どもに強姦されてるだけの映画じゃね…?」 
 
と勇気を振り絞って反論してみたところ、 
 
四郎
『お前は物事の表面だけしか見てないブタ虫だよ。アポロンだってセックスしかしてねえけどいい男だろうが!!ハッ、こんな女とギリシャに行ったなんて私は情けないわ!!』 
 
「……。」 
 
 
私は電話を切り、ちょっとだけ残っていた「天の戸」を一気にあおった。 
もう酔ってなきゃやってらんねえよ!!
 
何これ…私…世界中で一人きりなんじゃないの? 
私の方が芸術に理解の無いダメ人間なのかよ!!? 
 
――「変態村」が終わった所で、私はもう一本の映画に手を伸ばした。 
 
 
(…
「アポロンの地獄」…。) 
 
今度こそ登場人物みんなが楽しく歌い踊るハートフル・ストーリーであることを願いつつ、
 
私はDVDをセットした。 
 
 
――「アポロンの地獄」鑑賞後―― 
 
誰か私に95度くらいのウォッカくれ。 
ここまで私の心を木っ端微塵に破壊した映画は他にねえよ!! 
 
もう私ダメだ…今すぐ「サウンド・オブ・ミュージック」観てトラップ一家のみんなとドレミの歌歌わなきゃやってらんないよ!!
 
 
――スト―リーとしては、まんまギリシャ神話の話。 
だけど、
ギリシャ神話からアポロンだけを取り去ったような話!! 
ベースはギリシャ悲劇の
「オイディプス」で、 
主人公のオイディプスがアポロンの神託によって
「父を殺し、母を犯す」という、本当に神話そのままのストーリー… 
 
なのにアポロンの存在だけがどこにもない…。 
ギリシャ神話って、アポロンが欠けただけでこんな暗くてゾッとする感じになるのか、と本当にビックリした…。
 
 
いや、ギリシャ悲劇なんかにも、あえてアポロンを登場させないことで逆説的に神の威厳と存在感を醸し出す、という手法はあるんだけど、 
これはそうじゃなくて!! 
なんというか、 
ギリシャ人が愛したような、明朗で、理性的で、光り輝くアポローンの君はどこにもいなくて、 
ただアポロンは呪術的で、土俗的な禍々しい漠然とした何かというか…。 
 
本当にビックリした…。 
そして悔しいことにものすごく面白かった。でも二度と観たくない。 
そんな映画でした。 
オイディプスがお母さんとセックスするシーンとかマジで直視できないほど生々しい。 
そして「スフィンクス」の表現の仕方が最高。 
まじですごい。こんな映画を撮る人がいるのかと震撼しました。 
 
 
――そんなわけで、新年は「やっぱ黒川パネェ」という感想で始まりました。 
 
 
そうそう、せっかく映画の話になったので、今年の映画の話! 
今年はギリシャ神話の映画目白押しみたいですね!! 
(情報をくださった方々、どうもありがとうございます!) 
 
まずはあのギリシャ神話映画の金字塔「タイタンの戦い」のリメイク!!! 
だけど、ハーデス様が悪役、と知って絶望しております!!! 
 
「タイタンの戦い」ってあれだろ!? 
ペルセウスとアンドロメダの話でしょ!!? 
ペルセウスはハーデス様が唯一手を貸した英雄じゃないか!!なのにハーデス様敵役ってどういう事なの! 
 
ペルセウスが怪物と戦う時に、 
アテナが堅固な盾を、 
ヘルメスが強靭な剣を、 
そして
ハーデス様が隠れ兜をペルセウスに授けた!! 
ってシーンが最大の盛り上がりポイントじゃないのかよー!!確かに何でハーデス様が助けに出てきたのはよく分かりませんけど!!そんなの 
 
ハーデス
「ペルセウスって、ちょっと私のペルセポネーと名前似てるなあ…私の兜を貸してあげてもいい」 
 
って言わしときゃあいいんだよ!!
 
悪役…悪役かよー!しかもハリポタのヴォルデモートの人か…それは適役だけど…!! 
 
そして、もう一つの映画、
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」!! 
私は原作読んだこと無いですけど、ニューヨークのラジオ局の地下2階に冥界がある、っていう設定だけは聞いたことがあります。 
あと高層ビルの最上階がオリンポスとか!面白そうですよね! 
 
だけどハーデス様が悪役だってことも…知ってるぜ!! 
もうハーデス様敵ばっかりかよ!!でも出てくるだけマシか…!! 
 
なんかさあ、ハーデス様が主人公の純愛ハートフル・ストーリー無いの? 
最後にみんなでハーデス様を囲んで大合唱してハッピーエンド、みたいな奴頂きたいよ!!
 
 
…そんなわけで、映画が公開されたら
「ギリシャ神話の映画を見に行くオフ」とかやりたいです!! 
みんなで行った方が楽しくないか!! 
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 
そうそう、前回の日記で黒川に「ディオニュソスの精液」を食らわす、という話も進行中です。 
が、実はこの「ディオニュソスの精液」古代ギリシャにおける媚薬というか催淫剤だと信じられていた物なので、 
今、植物学をやってる友人に「それって単なる迷信だよね?食べても平気だよね?」と成分を調べてもらってるところです。 
 
これで大丈夫だと判断されても、念のため私が食べてみる必要があるだろ…それが本当に気が重いです。
だが…私は肉を切らせて骨を断つ…!! 
 
そして朝、サイトのトップページの雰囲気を変えただけで更新した気分になってた自分に絶望し、改めてお正月っぽい絵を急いで描いてアップしました。 
それと、オフに集中したいことがいくつかあるので、しばらくは更新がつなビィだけになりそうです。 
 
 
拍手どうもありがとうございます! 
コメントもありがとうございます!とても励みになります! 
お返事少々お待ち下さい!  
 

あけましておめでとうございます。
黒川氏への復讐(?)勝手に楽しみにしておりますvv

ところで、『変態村』ですが、同じスタッフで『変態島』という作品もありますよ。
『〜村』と比べるとクオリティーは落ちますが、女性と子ども(?)が出てくる分、『〜村』に比べるとむさ苦しさは緩和されますよ。笑
..1/12 3:50(Tue)




藤村シシン
古代ギリシャ・ギリシャ神話研究家。
高校で出会ったアニメ『聖闘士星矢』がきっかけでこの道へ。東京女子大学大学院(西洋史学専攻)修了。

◆著書『古代ギリシャのリアル』(実業之日本社)。◆ NHKカルチャー講座講師。◆2020年オリンピック採火式NHK生中継内、古代ギリシャ語同時翻訳。 ◆平成28年 東京国立博物館『特別展・古代ギリシャ』公式応援サポーター。 ◆UBIソフト『アサシンクリード・オデッセイ』公式コラボ ◆古代ギリシャナイト主催。 など。

お仕事のご依頼 euermo★gmail.com
(*をアットマークに変えて送って下さい)


書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。




★よく出てくる宿敵「黒川君」については
【黒川wiki】をご参照下さい。



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