エペメリス・シシナス・フジムラス


 

2008. 10. 8
      史上最大の危ないアポロン大作戦【完結編】
〜前編:あいつが演じたアポロン〜

――黒川『来週金曜、ハチ公前に6時。僕はアポロンで行きます。』―― 
 
―私『それってまさか…
チンコ丸出しで渋谷に来るってことですか!?』― 
 
―山田『俺と西野は、
TUTAYAの二階のスタバからその一部始終を見届ける!!』― 
 
―私『黒川さん…あなたにアポロンを表現するのは
絶対に無理です!』― 
 
―黒川『いいえ―― 
    
必ずあなたに言わせてみせます。この僕こそがアポロンだと』――
 
 
 
ああ…っ今、思い返しても興奮が収まらない、この話を聞いていただきたい!! 
あの日渋谷で何が起きたのか…そして「落ち武者より落ち武者っぽい」でおなじみのあの黒川が…「輝けるアポローンの君」をいかにして表現しえたのかを――!! 
 
『史上最大の危ないアポロン大作戦』【完結編】
 
 
―――決戦当日 PM 5:56。 
 
…プルルルル…プルルルル…ガチャ。 
 
私「……あ、もしもし、山田先輩?!こちら藤村!今、渋谷駅に着きました。これからハチ公前に向かいます!そちらはスタンバイOKですかっ?」 
 
山田
『スタンバイも何も、こっちは一番見通しいい席取るために3時間も前からスタバにいるっつーの!俺も西野もコーヒー4杯がぶ飲みでションベン止まらねえよ!!――ちょっと待ってろ、今西野に代わるぞ!』 
 
西野『…もしもし、藤村か?西野だ。お前、分かってるだろうな?もし本当に黒川が全裸で来た場合…
俺が許す!黒川のオチンチンはもぎって構わない!!』 
 
『っつーか全裸じゃないアポロンなんて私は認めませんから、何か着てた場合でも黒川のオチンチンはもぎります!!』 
 
だからどっちにしたって黒川のチンコは絶対もぎるぞ!! 
 
 
――PM 5:58 
 
私「…今、ハチ公前の広場に出ました!」 
 
西野『よし、じゃあ時間まで離れたところで待機してろ!』 
 
「ああ、どうしよう…なんか緊張してきました…!ハチ公を直視できない…!もう黒川さん来てるかも…!」 
 
西野『落ち着け!黒川の術中にはまってるぞ!!』 
 
――PM 5:59 
 
山田『藤村、そろそろ時間だぞ…!』 
 
「うわぁあああ〜〜!!緊張する〜っ!!っそれじゃあ私…ハチ公のそばに行ってみます…!」 
 
山田『藤村…!たとえあいつがどんなアポロンでも…絶対に取り乱すなよ…!!』 
 
私「…大丈夫です。だってたとえあいつがどんなアポロンでも…
絶対に否定する自信が私にはあります!!」 
 
そうだよ、黒川にアポロンができるはずはない!! 
あのアポロンの光明は表現できるはずがない…!! 
 
さあ、勝負だ、黒川ァアアアーーーッ!!
 
 
 
――PM 6:00 ハチ公前。 
 
 
「………え…?」 
 
 
山田
『もしもしっ!?もしもし藤村!?どうした!?黒川はいたのかっ!?どうなんだ!?黒川はどんな格好だ!?全裸かっ!?』 
 
私「…いや、違います…なんていうか…」 
 
――駅前広場で、
ハーデス様がケルベロスをつれて突っ立ってる、と思ったら、それが黒川とハチ公でした。 
 
←黒川代理:ハーデス様 
 
「……胸元にギリシャ語の怪文章が書かれた珍奇なTシャツ、全身真っ黒で、あと変なガイコツのバッグ……どういう事??これどう見ても黒川さんの普通の格好だぞ…。」 
 
まあ、これ自体は一般的には「普通の格好」とは言いませんが、 
とにかくこれは黒川さんの普段着だ…
アポロンではない。 
 
山田
『油断するな藤村ぁああ――っ!!お前が近寄った瞬間、服が爆発してオチンチンがポロリと出るハズだーー!!』 
 
←山田予想図 
 
「そんなのただ全裸になりたいだけの人で、全然アポロンじゃないじゃないですか!一体どういうことだーっ!?はっ!…いや…待てよ…もしかしたら…!」 
 
山田『何だ!?』 
 
「そうだ、見た目じゃない!
きっと言葉遣いとか仕草なんかがアポロンとかそういう…!!」 
 
と、ここで、黒川さんが私に気づいて、 
そして、すごい庶民的な言葉遣いとしぐさで、 
 
黒川「ふっじむらさぁ〜〜ん!!こっちこっち〜〜!!」 
 
 
「…訂正です。あれ全然アポロンじゃないぞ…」 
 
ええっ何、どういうこと!? 
体もホワイトアスパラみたいに脆弱!! 
洋服は珍奇!! 
言葉も仕草も一般庶民!! 
 
じゃあ一体何がアポロンなんだよ!!
 
 
まさか臆したか!?黒川ーっ!?と憤った私は、 
山田先輩たちとの電話を切り、 
 
 
黒川「藤村さーん!コンニチ…」 
 
「黒川ぁぁーっ!!オメー全然アポロンじゃねーじゃねえかよ!!さあ!さっさとその珍奇なTシャツ脱いで全裸になれーっ!」 
 
お前の赤紫色の乳首を私に見せてくれ!! 
そして即お縄頂戴、即牢獄行きになってくれ!!
 
 
 
黒川「…ちょ、ちょっと落ち着いて…藤村さん…!そりゃあ、僕だってこの国の法さえ許せば全裸で来ましたけど…!
でも、どうやら路上で裸になってはいけない、という法律があるみたいで、それは断念しました。」 
 
私「ええっ!?じゃあ…!?」 
 
すると、黒川は「ここからです」と言わんばかりにニッと笑って、 
 
黒川「――藤村さん。あなたは全裸だからアポロンが好きなわけではないでしょう!?ましてや、姿かたちが美しいから好きなわけでもない!」 
 
私「…ええっ!?」 
 
黒川「以前あなたは僕にこう仰ったじゃないですか!
『哲学者ソクラテスに理性の光を投げかけた、あのアポロンの姿が好きだ』と。そして、『一度でいいから、ソクラテスみたいな体験をしてみたい』と!」 
 
私「…その話が一体…?」 
 
黒川「…ソクラテスが『知』を追い求めていたあの時、一筋の光を射掛けたのはアポロンの神託でしたね。そして、
その神託は…一つの『謎かけ』の形をとっていた」 
 
私「…?」 
 
黒川「だから僕も藤村さんに謎をかけます。…こんな風に!」 
 
――そう言って黒川が手渡してきたのは、 
 
 
 
真っ白いハンカチ。 
そのハンカチにまっ黒のギリシャ語で、
 
 
ΑΠΟΛΛΥΩΝ ΕΣΤΙ ΣΟΣ 
アポッリュオーン・エスティ・ソス 
『彼はお前を殺す者だ』
 
 
 
――うわぁぁぁ〜〜っ!?何っだこの気持ち悪い文章〜〜っ!? 
 
 
黒川
「このハンカチ、僕が一から手作りしたんですけど、これを藤村さんに差し上げます。」 
 
要らないよ!! 
え…!?どういうこと!?何なの、これ!? 
「彼はお前を殺す者だ」!?この文章が何なのっ…!!? 
 
黒川「…藤村さんは、最近ずっとアポロンのことで悩んでいらっしゃいましたね。
まじめな話、このままだと、あなたはアポロンに殺されます。」 
 
――ゴクッ…。 
 
黒川「アポロンはあなたを殺す者です。だけど、ソクラテスがしたように、
『アポロンときちんと向き合って下さい。そして、アポロンの悲しみを取り除いてください。』」 
 
私「…!?」 
 
黒川
「『あなたを殺す者から悲しみを取り除け』!そうしたら、真理が見えます!きっと!」 
 
……謎かけだ…!! 
アポロンがソクラテスにしたような…!! 
ソクラテスを真理に導いたようなあのアポロンの謎かけを…! 
黒川は私にしているんだ…!!
 
 
この文章…!この文章に何かあるのね…!? 
 
 
ΑΠΟΛΛΥΩΝ ΕΣΤΙ ΣΟΣ 
アポッリュオーン・エスティ・ソス。 
 
 
彼はあなたを殺す者。ここから取り除く。アポロンの悲しみを…。 
 
私「……アポロンは、愛するヒュアキントスを殺してしまった時…とても悲しみましたね。アポロンはヒュアキントスの亡骸を花に変えて…
その花びらに唇で彼の名前の頭文字を刻みました。つまり、Υ(ユプシロン)の文字を!」 
 
黒川「ええ!」 
 
私「…Υ(ユプシロン)はアポロンの悲しみの象徴ですから…この1文字をこの文章から取り除けば…… 
 
ああっ…そうしたらこの文章…!!この文章は…!!」 
 
まったく別の意味になる!! 
 
 
黒川「!そうですっ!」 
 
そう言うと、黒川はポケットからおもむろに
針と赤い糸を取り出した。 
 
「うわっ!?ちょ、ちょっと、何を…!?」 
 
そして私の手からハンカチを取って、それを縫い始める。 
 
私「ええっ!?何っ!?」 
 
黒川は、
Υ(ユプシロン)に赤い糸で打ち消し線を入れると、 
 
黒川
「藤村さん!ソクラテスがしたように、たとえ死刑になると分かっていても…アポロンに殺されることになると分かっていても、最後までアポロンを信頼して下さい! 
 
――そうすれば、必ず、アポロンはあなたのものになります!」
 
 
 
 
ΑΠΟΛΛΥΩΝ ΕΣΤΙ ΣΟΣ 
(『彼はあなたを殺す者だ』) 
 
ΑΠΟΛΛΩΝ ΕΣΤΙ ΣΟΣ 
アポローン・エスティ・ソス。 
 
『アポロンは、あなたのものだ』
 
 
 
「……!!」 
 
 
黒川
「あきらめないで下さい!アポロンの謎を解いてください、藤村さん!ソクラテスがそうしたように…!藤村さんならできます!必ず、アポロンをあなたものにできます!!」 
 
 
――謎かけの形をとって与えられたアポロンの神託…!! 
その理性の光の一撃はいったいどんなものだったのか…! 
私も一度味わってみたいと…!!そう思ったことがある…!!
 
 
――それを黒川!!お前が私に体験させてくれるとは…!! 
 
アポロンのコスプレでも、態度でも姿でもなんでもない!! 
お前はアポロンの本質を!最も輝かしいアポロンの本質を模倣したのか!!ああっ、黒川!!
 
 
 
「……っあなたこそ…!あなたこそ、私のアポロンです…!!」 
 
 
 
ああぁあ…もう今にも土に還りそうなほど冴えないこの男がっ、もう、 
 
 
完全にアポロンにしか見えない…!!
 
 
 
ああ、ここは…!ここは渋谷じゃない…!!ここは、 
 
アポロンの聖域デルフォイ…!! 
 
これはハチ公ではない…!! 
 
デルフォイの入り口を守るスフィンクスだ…!!
 
 
そして周りにいる「今日のデートどこ行く〜?」とかいちゃついてる有象無象どもは…ニンフよ…!!デルフォイの野で戯れるニンフたちよーっ!! 
 
 
「ああ、そしてアポロン…私と踊って!」 
 
アポロン(黒川)
「喜んで!」 
 
 
後半に続く!  
 

>> ツッコミ


管理人:藤村シシン

ギリシャ神話、古代ギリシャ史、
そしてアポロンを追い求めています。

連絡先: t-t-moon*ypost.plala.or.jp
(*をアットマークに変えて送って下さい)


★よく出てくる宿敵「黒川君」については
【黒川wiki】をご参照下さい。


書籍『古代ギリシャのリアル』発売中。






各種リンク

twitter
(基本的にここにいます)


「藤村一味」まとめ
(学校では教えてくれない古代ギリシャ、
呪術ナイトなどのトゥギャッターまとめ)


twilog
(ツイッターのログ)

(ピクシブ)


私のサイト(ギリシャ神話の創作とか)

2008. 10. 24 神話をクソ真面目に描いてみる....
2008. 10. 20 おまけ:ローマ vs ギリシャ ....
2008. 10. 19 拍手のお返事(10月17、18日)
2008. 10. 18 ローマ vs ギリシャ、神話描写....
2008. 10. 13 アポロン&ハーデスになぞらえ....

2008年 10月
SunMonTueWedThu FriSat
- - - 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
-





| 携帯用 | | RSS | | 検索・カテゴリー | | Home |

++ Powered By 21style ++